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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 80

『『『…………』』』
全員が、しばしの間沈黙する。そしてラグーナが、不承不承という様子で言った。
『手短にお願いしますね』
「ありがとうございます……」
貝丞は、ラグーナを拝むようにした。そして一同に向き直って言う。
「ええと、皆様のご意見、誠にごもっともだと存じます……」
『それで?』
ミュラが問う。貝丞は続けた。
「それで……皆様の意見の間を取ってはどうかと……」
『間?』
イルジーマが怪訝そうな顔をした。
「た、例えば、領主様付きの警備担当の小間使い……みたいな感じで」
――何を言っているんだ。俺は。
言ってから貝丞は、自分の発言の不用意さと意味不明さにげんなりした。領主付きの警備担当小間使いなどというポストがあるわけがない。もう少し考えて話せばよかった。
『領主付きの……』
『警備担当……』
『小間使い……』
だが意外にも、貝丞の他の全員は満更でもなさそうな雰囲気だった。
『領主付き……あたしが独り占め……』
『警備担当……ずっとボクと一緒……』
『小間使いなら侍女長の部下……表ではセクハラ三昧……裏ではその報復のお仕置き……フヒッ』
どうやら3者とも、自分に都合のいい部分だけを耳に入れ、後はスルーしているようであった。
『では、御主人様の仰せの通りに……』
ラグーナが会議をまとめかける。意外にも自分の意見が通ったことに勇気を得た貝丞は、再度「はいっ!」と挙手をした。
――今なら、もう一言ぐらい言っても許される気がする!
『どうなさいました? 御主人様』
「お前達……基本的には、あくまでも基本的には、俺の言うことに絶対服従ってことでいいんだよ、な?」
『もちろんです。嫌ですわ御主人様。そんな分かり切ったことを今更……』
ラグーナが微笑む。彼女の言葉を聞いた貝丞は、意を決し、全員の顔を見渡してから言った。
「命令だ。俺にこの世界の言葉を教えろ」
これこそ貝丞が、地球とは別の世界に来ていると知ったとき以来、考えていたことだった。いずれ地球に帰れるのかどうかは分からないが、少なくとも一か月や二か月で帰れるということはないだろう。それならこの世界の言葉を覚えた方がいい。ずっと言い出す機会を持てなかったのだが、奴隷会議で自分の意見が聞き入れられたのを機に、持ち出してみたのである。
『ああ……御主人様がとうとう私達の言葉を……』
真っ先にラグーナが、感動の色を露わにした。ミュラも、イルジーマ達メイドも、喜びをその表情に見せている。言ってみてよかったと貝丞は思った。

その夜から、奴隷達による御主人様へのスパルタ語学指導が始まった。
『違います御主人様! もっと強い口調で言ってください!』
『こ、この雌牛……ケツを突き出せ……』
『もう一度、鞭を振るいながら言ってください!』
『この雌牛、ケツを突き出せ……』
バシッ!
『ああんっ! ラグーナの汚いお尻、もっと虐めてください……』
「ええと……その……」
『さっき教えたじゃないですか! そこで“このケツを犯してやるからありがたく思え”です!』
「あの、もうちょっと一般的な語彙の方を……」
『御主人様は生徒なんですから、黙って教師の言う通りにしてください!』
「は、はひ……」
女鬼教官ことラグーナは、全裸に首輪でベッドに突っ伏し、両手を背後に縛った状態でヒップを天井に突き上げながら、有無を言わさぬ調子で貝丞に言葉を教えていった。

教官役が代わっても、無論そこに大差はなかった。
『常足(なみあし)進め。ハイドウ、ハイドウ』
『んん……御主人様。だんだん覚えてきたね……』
「そうか。じゃあそろそろ馬術だけじゃなくて、日常会話を……」
『駄目! ちゃんとボクを乗りこなすまで馬術用語の特訓!』
「さようでございますか……」
全裸で背中に鞍を着け、四つん這いになったミュラの背中に乗りながら、貝丞は渋々頷く。
『じゃあ屋敷をもう一周ね。ちゃんと手綱と鞭も使わないと動かないよ?』
「わ、分かってるよ……」
バシッ!
『進め!』
『あひぃん! お尻気持ちいい……』
ミュラはその長い四肢を動かし、のそのそと這い出す。褐色の、小さな樽ほどもある乳房は無遠慮に揺れ回り、ピアスの付いた先端からは相変わらず白濁した液体が垂れ流しだった。
――確か前は、鞭と手綱で動いてくれてたよな……?
何故か急に、言葉で言わないとミュラが動かなくなった理由は、どうしても分からなかった。

『では御主人様。このイルジーマの後に続いて発音してください』
「お、お願いします……」
『乳を 出せ』
『……乳を 出せ』
『おマンコを 見せろ』
『お、おマンコを……見せろ』
『お前達を 犯す』
『お……お前達を……お、おか、犯す……』
『……と、御主人様は仰せです』
最後のイルジーマの言葉は、貝丞に対してではなく、そこに並んでいたメイド達に対してだった。言われたメイド達は、ややもじもじしながらメイド服を脱ぎ始める。
「え? ちょっとまさか……」
『御主人様。御自分の発言には責任を持ってください。皆、犯される覚悟を固めています』
「そ、そんな……」

…………

メイド全員とのセックスが終わり、貝丞はベッドに横たわりながら、天井を仰いでいた。
――とりあえずは、これでいい。
ラグーナ達は、専ら貝丞に、自分達が言わせたい言葉ばかりを仕込んできていて、日常生活で使う言葉はなかなか教えようとしない。だが、彼はあえてこのまま授業を受け続けることに決めた。
どうしようもない下ネタ一色の言葉でも、ある程度の単語や文法を掴むことはできる。それに考えて見れば、日本人が英語を学ぶときだって、『これはペンです』のような一生使いそうにない文章から始めるではないか。

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