これは地球とはまったく違う世界の話。
そこはメロン・ワールドと呼ばれる世界
この世界では女は必ず乳首にピアスをしなければならない。
このような制度が存在する理由として、ピアスの形で女性の身分、職業、年齢などの情報を表すためだというもっともらしい説明がなされているが真相はひとえにこのメロン・ワールドを治めている王が重症のピアスフェチであったという事に尽きる。
この制度が公布された際、王は「全ての女性が乳房を露出して生活すること」という法令も合わせて発しようとしたが王国の家臣達は泣いてこれを押しとどめた。
――陛下、乳房というものは普段隠されているからこそ目にしたときに興奮できるのでございます。女性が乳房を露出するのが当たり前になっては見られることに対する恥じらいも何もなくなり、いざという時の盛り上がりに欠けることは必定でございます・・・
王はこれを聞いて言われてみればそれもそうだと思い直したので女性が乳房を露出するという法令はお蔵入りとなり、ピアスを付けるべしという法令のみが公布された。
法令が出された当初は世の男女にすこぶる不評であったが、別に飢えて死ぬことになるわけではないので一揆の類が起きることはなかった。それでも慣れとは怖いもので、法令が出されて１０年も経つ頃には誰もピアスを付けることに対して疑問を持たなくなっていたのである。