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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 67

ラグーナ達に連れて来られ、イルジーマ達と交わったあの部屋だった。今度は周りに誰もおらず、貝丞一人である。
「こうして改めて見ると、結構広い部屋だな」
部屋は、学校の教室の倍ほどの広さがあった。貝丞が寝ているベッド以外家具がないので、専用の寝室なのだろうが、それにしては面積を取っていると思う。
――どうも、最初に寝ていたあの部屋の方が落ち着く気がする。相変わらず貧乏性だな、俺は……
貝丞は苦笑した。
――しかし、この広い屋敷と言い、大勢のメイドさんと言い、ラグーナとミュラは俺なんかと違って相当な金持ちみたいだな。それに、試合のときのレフェリーのあのミュラへの態度……
そこまで思った貝丞は、自分が相変わらずラグーナ達の身分職業を知らないことに気付いた。
本人にもイルジーマにも、今のところ聞きそびれている。いずれ分かることだろうから、焦って聞く必要はないのかも知れないが。
――まあ、それは置いといて、これだけはやっとくか。
貝丞はベッドから降り、絨毯の上に立つと、体を前後に屈したり捻ったりした。体の調子を確かめるためである。元の世界にいたとき以上に、今の自分にとって肉体は生命線だと、彼は確信していた。
――ミュラに蹴られたところは、もう大丈夫みたいだな。次は……
両腕を前後に動かす。右肩の痛みはもうないが、少し関節が固まっているような気がした。しばらくは、余分に動かした方がいいかも知れない。
――よし。それから……
貝丞は両足をやや前後に開き、両手を拳にして顔の高さに構えた。
ヒュオッ……
左、右とパンチを出し、スピードを確かめる。残念ながら、貝丞にとって満足のいく出来ではなかった。
――まだ、7、8割ってところか。痛みはなくても、ダメージが残ってるのかも知れない。
試合のダメージではなく、自称奴隷達に搾り取られた疲れが抜けていないせいだとは、考えたくなかった。左足を振り上げ、高い回し蹴りを放つ。
ヒィン……
ガタタッ……
足音の類は、全くしなかった。ただ空気の裂ける音と、その余波を受けた窓の震える音が、寝室に一瞬響く。
――これも本調子じゃないな!
早目に戻さないと。そう思いながら貝丞は足を下ろし、ベッドに戻って腰かけた。
――さて、これからどうしようか?
こんな夜中に目覚めてしまったせいで、何をしていいのか分からない。時計がないので、後どれくらい待てば朝になるのかも分からなかった。
外へ出て誰かを呼んでみるか。いや、みんなもう寝静まっているかも知れない。
では、このまま朝までベッドに横になって待つか。まあ、それが一番妥当な選択だろう。
――でも、な……

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