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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 60

「そ、そういう問題じゃないんじゃ……」
『御託は結構です。その毛布をお放しください』
「でも……」
『放しなさい』
「はい……」
貝丞は泣く泣く、毛布を手放した。そして入ってきたメイド達の方を振り向くと、全員がベッドの側まで近寄り、跪いている。
「あ、あの、皆さん……?」
「ικ★Λ◎я……」
メイドの一人が顔を上げ、やや赤面しながら何かを言った。だが貝丞には、その意味が理解できない。どうやら例の魔法が効いていないようだ。貝丞は「ちょっと待って」と彼女を制し、イルジーマに質問してみることにした。
「あの、イルジーマ。この人達と話しができないみたいなんだけど……」
『この者達には、ラグーナ様の魔法がかかっていないのです。ラグーナ様は魔法を使って言葉の通じない相手と意志を伝え合われますし、他の者に魔法をかけて、その力を一定の時間お与えにもなれます。ですが、その力を受け取れるのは、ある程度以上の魔力を持った者だけなのです』
イルジーマの答えを聞き、貝丞は納得して頷いた。
「そうか。それでミュラやイルジーマが……」
『はい……ご主人様に受け取っていただければ一番いいのですが、残念ながら……』
「俺には、魔力の“ま”の字もないからね……」
貝丞が苦笑すると、イルジーマは彼をいたわるように言った。
『御心配なく。ご主人様のお言葉は、侍女長であるこのイルジーマが一言一句漏らさず皆に伝えますので……』
「そうか……それじゃまず、『至らない主人だと思うけど、精一杯この世界のことを勉強して頑張るから、よろしく頼む』って伝えてくれるかな?」
するとイルジーマは、顔をしかめて言った。
『ご主人様は、そのような卑屈な物言いをなさらなくて結構です。黙って俺に奉仕しろ、ぐらいのことを仰ってください』
「え……? 俺の言葉、一言一句漏らさずに伝えてくれるんじゃないの……?」
『その通りですが、ご主人様が失言をなさらないようにフォローするのも、侍女長の重要な役目ですので』
「…………」
呆然とし、一瞬言葉を失う貝丞。そんな彼に、イルジーマは容赦なく催促した。
『さあご主人様、サンハイ』
「いや、あの……」
『サンハイ』
「ねえ、一つ聞いてよ」
『早く言いなさい』
イルジーマがやや怖い顔になり、貝丞の目を睨みつけてきた。跪いているメイド達はメイド達で、何か期待に満ちた眼差しを貝丞に向けている。
「………………ほ、奉仕、お願いします……」
万策尽きた貝丞は、メイド達の方を向き蚊の鳴くような声で言う。相手が初対面の女性である以上、彼にとってはこれが最大限の譲歩だった。
『…………』
だがイルジーマは、不満の色を隠さない。しばらくすると口を開き、部下のメイド達に貝丞の言葉を次のように“通訳”した。
『お前らはみんな俺のものだ。少しでも奉仕に手を抜いたら許さん。そうご主人様は仰せです』
「え!?」

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