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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 55

――本当は、とうの昔に分かっていたことだったんだけどな。
だが改めて証拠を突きつけられると、やはり暗い気分になった。許されるなら地面に突っ伏し体を丸め、思う存分ヘコみたいと貝丞は思う。だがここでそれをやれば、ラグーナとミュラは一層心配し、心を痛めるだろう。彼は心を鬼にして、二人を安心させにかかった。
「……二人ともお疲れ。もう下ろしてくれていいよ。俺なら大丈夫だから……」
チュッ……チュッ……
――え?
貝丞は戸惑った。ラグーナとミュラが同時に、彼の左右の目尻に口付けをしてきたのである。やがて二人の唇からは、何かの液体をすするような音がし始めた。
チュル……チュルッ……
――ああそうか。俺、泣いてるのか……
貝丞は状況を悟った。そう言えば確かに、視界が霞んで星がよく見えない。気恥ずかしさを覚えた彼は、どうにか涙を止めようと、まぶたを強く閉じたり開けたりした。するとラグーナとミュラが、涙をすするのを止めて唇を離す。
『ご主人様。どうか我慢なさらないでください』
「あの、俺は……」
『そうだよ。ボク達奴隷の前では、ご主人様はどんな感情も隠さなくていいんだよ』
「二人とも……」
そこまで自分を受け入れてくれるのか。感極まった貝丞は、今までとは違う理由で涙を流し始めた。
「うっ、うう……」
チュッ……チュルッ……
ラグーナとミュラは、再び無言のまま、貝丞の涙を舐め取り始める。貝丞はもう、あえて泣くのをこらえようとはしなかった。

…………

「ん……朝か……」
翌朝、貝丞はベッドの上で目を覚ました。といっても時計があるわけでもないので、朝なのか昼なのかはよく分からない。
……ジュル……ジュルル……
あの後、ラグーナとミュラにいたわられつつ、泣きたいだけ泣いた貝丞は、「ありがとう。もう戻って休もう」と彼女達に提案した。二人がこの世界で何をしているのか不明だが、もし何か仕事を持っているとしたら、あまり夜更かしをさせてはまずいと考えたのである。
『うん。そうしよう……』
『今寝室に、お連れしますね』
超乳奴隷姉妹は主人の言葉に従い、中庭から建物へと戻った。そして、二人がかりで貝丞を抱きかかえたまま、この部屋まで連れて来てくれたのである。
……ピチャ……ジュル……
――それから、三人でこのベッドに寝たんだったな。眠る前に、確かラグーナはこんなことを言ってた……
『お目覚めになったとき、あたし達はご主人様のお側にいないかも知れません。でも心配しないでください。代わりの者をよこして、ご主人様の面倒を見させますから……』
――代わりの人か……でも、ラグーナがいなかったら言葉通じないんじゃないかな……

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