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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 54

…かつてピアス好きの王が決めたこの制度は、時代を経て多少変化しながらも続いていた。
ラグーナやミュラも何故そんな制度が出来たか知らず、ただ習慣としてしているらしい。
二人の話によれば、女の子は初潮が来ると親に連れられてピアス屋に行き、初めてピアスを付けて貰う。
それが大人の女の仲間入りをする最初の出来事で、その歳頃の少女達はピアスを付ける日を心待ちにしていると言う。
ピアスは乳首と直接繋がる金属のシャフトに三日月状(またはC字型)のリングで構成されている。

シャフトの部分は魔法によって強化固定され、どんなに引っ張っても取れないらしく…リング部分は取り替え可能で、取り替えたり色々な装飾品をそこに付けたりするのがお洒落であるらしい。
要は、可愛いのや綺麗な下着とかを着たりする感覚なのだろうかと貝丞は想像する。
「ふふっ…ピアスは女の子にとって一番大事な身だしなみですから…機会があればご主人様に色々なピアスを選んで頂きたいですわ」
ラグーナの言葉に、よく解らないが、まあそれぐらいならいいかと貝丞は苦笑気味に呟く。

「それに、結婚したり奴隷になったりすると…公然と胸を出せるからピアスに気合い入れないといけないもんねっ」
…はぁ??…
ミュラの言葉に今度は思考停止してしまう貝丞…習慣の違いが有りすぎると言うか、(少なくとも自分に関わり合いのある女性の胸を露出させる気はない)言動が理解出来ない貝丞だった。
「それでご主人様…結局、星はどうなりました?」
「…………あっ」
星空を見てから現実逃避していた貝丞はラグーナの言葉で、本格的に認めざるを得ない現実に引き戻されたのだ。

――ついに、ジャッジメントタイムが来ちまったな……
男一匹玉波貝丞、逝きます。心の中で宣言した貝丞は、最後の覚悟を決めて視線を上空へと向けた。地域によっては昼間の星でも見えるその視力で、星の並びをじっくりと観測していく。
「…………」
『ご主人様、どう?』
『駄目よミュラ! 静かにしてなきゃ……』
先走るミュラを、ラグーナがたしなめた。今までの和やかな雰囲気は一変し、張り詰めた空気が流れる。
「…………」
貝丞はしばらくの間、何も言わずに視線を空のあちこちに動かしていた。やがて彼は目を閉じて息をつき、その口から一言、言葉を漏らす。
「……きれいだ」
『ご主人様? それは……』
どういう意味でしょうか。ラグーナは不安のせいか、問いかけの言葉を最後まで言わなかった。自分の顔を心配そうに見つめるラグーナとミュラに貝丞は微笑みかけ、言おうとしていた台詞を最後まで続ける。
「きれいだ。この世界の星空は。俺のいた世界に勝るとも劣らない……」
『『ご主人様……』』

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