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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 6

言葉が通じない状況ではそういった肉体労働に就くしかない。もちろん就労ビザなど取れるわけがなく不法就労する気バリバリである。雇用主からある程度足元は見られるだろうがこの際やむを得まい。
ところがしばらく歩き広場らしいところに出ると、そこは黒山の人だかりで立錐の余地もなくなっていた。ここを通り抜けるのは相当骨が折れそうである。そればかりか時々割れるような歓声が巻き起こり、貝丞の鼓膜に不快な振動を与えた。
「えらい騒音公害だな。警察は取り締まらないのか?」
どうやら人だかりの中心で何かやっているらしい。
「ようし。こいつら何がそんなに楽しいのか拝んで行ってやる!」
進路を妨げられて怒り心頭に発した貝丞は歓声に当てられないよう耳をふさぎながら人ごみをかき分け、中心へとにじり寄って行った。
足を踏まれたり何故か尻を触られたりしつつ中央にたどり着いた貝丞の目に入ったのは円形の舞台だった。
高さは1メートルほど。直径は10メートルはあるだろうか。その舞台の上で二人の男が取っ組み合いの喧嘩を演じていた。
――格闘技の試合か!!
何だか分からないときは腹も立ったがいざ自分の大好きな格闘技と相場が知れてみるとそのような気持ちは見る見る消えていった。
――我ながら現金だな。
そうは思っても目は自然と舞台の上で戦っている二人に向いていく。一人は身長2メートルほどで褐色の肌を持つスキンヘッドの男だった。もう一人はそれより少し背が低く190センチあまり。白い肌で黒い髪を短く刈り込んでいる。二人とも上半身裸で筋骨隆々たる肉体を誇示していた。
二人はしばらく殴り合いを続けていたようで双方とも顔に多数の切り傷を作っている。
どちらかのパンチが相手にヒットするたびに観客が興奮して叫び声を上げる。一見互角の攻防だったが貝丞の目には白人の方がやや強いように思えた。果たして白人の方がスキンヘッドの黒人を次第に押し始め、パンチを続けざまにヒットさせていった。観衆の熱狂はどんどん高まっていく。
ところが貝丞が
――これは勝負あったかな。
と思った頃、白人の方が急にガードを解き、『ここを撃ってみろ!』とばかりに自分の顎を示したのだ。余裕のつもりだったのだろうがそれが命取りになった。
黒人が苦し紛れに振り回した拳が白人の「こめかみに」ヒットし、そのまま白人は崩れ落ちた。観客からブーイングと失笑が起こる。
――おやおや。
舞台の上には戦っている二人の他にレフェリーと思しき人物が一人立っている。しかし彼が倒れた白人のカウントを取る様子はなくスキンヘッドの黒人はそのまま白人に襲い掛かって行った。
――ボクシングじゃなくて何でもありのルールだったんだ。
黒人が白人に馬乗りになって何度も頭を殴りつけている。

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