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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 49

だがもちろん、貝丞としては今考えていたことを正直に話すわけにはいかない。彼は曖昧な返事でお茶を濁そうとした。
「いやその、大したことじゃ……」
『そう? 大分考え込んでたみたいだけど』
「えっ?」
ラグーナの反対側から聞こえてきた声に、貝丞は振り向いた。ミュラもまた起き出しており、彼の顔を見つめていたのである。二人が目覚めるのに気付かなかったとは、確かに余程思索に没頭していたのだろう。
「…………」
それで、何を話せばいいのか。数秒の間、貝丞の中で時間が停止する。それを再び動かしたのはラグーナだった。
『お気持ちはよく分かります。不安ですよね』
――え? どういう意味だ?
貝丞が彼女の意図を測りかねていると、ミュラが続いて口を開いた。
『そうだよね。着の身着のままで別の世界に飛ばされちゃって……』
「あ……」
そうか。そういう意味か。合点が行った貝丞だったが、次の瞬間彼は一転して暗い気分に陥っていた。
――まずそこから、始めないと駄目だな……
要するに、今自分が異世界に来ているという事実を受け入れないと、何も始まらないということである。だが貝丞は今まで、それを意識的に避け続けてきた。
この期に及んで何を言っているんだと、自分でも思う。今までに見たこと、起きたことを考えれば、ここが貝丞の知る地球であるはずがない。しかしいくら頭では分かっていても、感情の動きは少々別だった。
とは言え、いつまでも甘っ垂れたことを言っていても始まらない。ここは決定的な証拠を自らに突き付け、問題に決着を付けるしかないと貝丞は考える。
――どうするかな。
少しの間考え込んだ彼は、やがて一計を案じ、ラグーナとミュラに声をかけた。
「あの、二人とも、ちょっと頼みたいことがあるんだけど……」
『駄目です』
『駄目だね。全然』
「え?」
貝丞は戸惑った。内容すら聞いてもらえないとは、さすがに思っていなかったのである。別に断ったって構わないが、聞くだけ聞いてくれてもいいのではないか。
「分かった……じゃあいい」
落胆した貝丞は、自力で何とかするべくベッドから起き出そうとした。だがその瞬間、ラグーナとミュラが彼の両肩を左右から押さえ付け、ベッドに強制的に寝かせる。
「何を……?」
『最後まで聞いてください』
「聞くって……」
話を聞いてくれないのはそっちじゃないか。そんな思いを押し殺し、貝丞は二人の言うことを一応聞くことにした。
『いいですかご主人様。契約によってあたし達は、ご主人様の持ち物になったのです。自分の持ち物を使うのに、その物の意思を確認する人がいますか? もしいたら頭のおかしい人です』
「何が言いたいんだよ……?」
『だからさ、ご主人様のしもべで、道具で、家畜のボク達に何かさせたいなら、全部命令形で言ってよね。でないとボク達、指一本動かさないから』
「…………」

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