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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 36

『ミュラ。ちょっといいかしら?』
『……何、ラグーナ? 邪魔しないでよ……』
生乳をご主人様に初めて晒すという崇高な行為を妨害され、ミュラは不機嫌そうに返答した。だがラグーナは怯む事なく、言葉を続ける。
『ごめんなさい……でもねミュラ。折角ご主人様があたし達の隷属を受け入れてくださったんだから、一刻も早く契約の儀式をした方がいいと思うの。儀式までご主人様にあたし達の純潔を奪っていただけないのは知ってるでしょう? 今ここでご奉仕しても、きっと中途半端に終わってしまうわ』
それらしい事を言ってはいるが、ラグーナにしてみればミュラが貝丞を独占するという状況を何とかしたいだけなのだろう。だが『契約の儀式』という大義名分を持ち出されたミュラは、素直に肯定する。
『……それもそうだね……』
事はラグーナの思惑通りに運ぶ……かに見えたが、現実はそう甘くなかった。
『じゃあラグーナ、準備やってて。ボクはここでもうちょっとご主人様にご奉仕してるから』
『なっ……』
あまりに我田引水な妹の提案に、ラグーナは絶句した。さすがにそう来るとは思っていなかったようだ。だが彼女はすぐに落ち着きを取り戻し、かねて用意していた台詞を口にする。
『悪いんだけど、ミュラ、あなたが準備しててくれる? あたしはもう少し、ご主人様のお怪我の様子診ないといけないから……』
『嘘だ! 体よくボクを追い出して、一人だけでご主人様にご奉仕する気だ!』
『それはあなたでしょ! 大体あなたは今ご主人様とキスしたんだから、次はあたしがしたっていいじゃない!』
一発で魂胆を見透かされ、とうとうラグーナが本音をぶちまけた。貝丞が目覚めた時に見せた慈母のような表情からは想像も付かない程、怒りに満ちて柳眉を逆立てている。ミュラもまた、鬼の形相と化していた。今の彼女ににらまれたら、どんな格闘家でも耐え切れずに視線をそらす事だろう。
もちろんその中には、今現在ミュラに組み敷かれている少年も含まれている。最初のうち、貝丞はラグーナとミュラのやりとりを大人しく聞いていた。
だが二人の間の空気は見る見るうちに緊迫し、今や一触即発という言葉が生ぬるく感じられるまでになっている。彼は勇気を奮い起こし、仲裁を試みた。
「あの、お二方、ここは一つ穏便に……」
『『ご主人様は黙ってて!!』』
「ひっ! は、はい……」
凄まじい勢いで二人に怒鳴り付けられ、貝丞は黙り込んだ。完全に脅迫に屈した格好である。主人としての威厳も何もあったものではないが、怖いものは怖いのだ。
もっとも、彼の玉砕は無駄ではなかった。貝丞の引きつった顔を見て、ラグーナもミュラもようやく我に返ったのである。

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