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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 34

『でも仕方ないわ。ご主人様に怪我をさせるような女ですもの。奴隷として認めてもらえなくて当然。やっぱり生きる権利なんかないわ……』
そう言うとラグーナは床を探って短剣を拾おうとし始めた。それを見たミュラも同じ行動を取る。貝丞は慌てて身を乗り出し叫んだ。
「そ、そんな事ないって!」
『『え!?』』
ラグーナとミュラはバッと顔を上げ、貝丞を見つめた。二人とも何だかやたら表情が明るい。あまりの豹変ぶりに貝丞が戸惑う程だ。
『本当? ご主人様……』
『ボク達をご主人様の奴隷だって認めてくれるの?』
「え? そ、それは……」
貝丞は面食らった。ラグーナの言葉の『生きる権利なんかない』という部分に対して『そんな事はない』と言ったつもりだったのだが、どういう訳か話がすり替わっている。しかし期待に満ちた彼女達の表情を見ていると、貝丞は誤解だと言い出し辛くなった。
『どうなの!? 答えて、ご主人様!!』
ミュラが立ち上がって貝丞に詰め寄った。その剣幕は何だか怒られているみたいだ。プレッシャーに耐えかねた貝丞が足を崩して後ずさりすると、ミュラはベッドの上に這い上がって来た。
『ご主人様!』
ラグーナも妹に倣ってベッドの上に四つんばいになり、鬼気迫る表情で迫ってくる。
『さあ、答を!』
「ひっ……」
貝丞はあっという間に隅へと追い詰められた。完全に彼を包囲したラグーナとミュラは、打って変わって哀れみを乞うような切ない表情になる。
『ご主人様。何でもするから……』
『お願い。あたし達を救って……』
「ぐくっ……」
ラグーナとミュラのしおらしい振る舞いは、あたかも酸のように貝丞の理性を劣化させた。二人の胸元からは深過ぎる谷間が覗き、そちらはそちらで『さあ、誘惑に屈しなさい!』としきりに彼をせっついて来る。
「あうう……」
貝丞は進退谷(きわ)まった。これほど追い詰められた気分になったのは、海外旅行に行った先でクーデターに巻き込まれ、戦闘に参加する破目になった時以来であろうか。
『『ご主人様……』』
――も、もう無理だ……
ついに貝丞の心は折れた。彼はギブアップ負けを選択する。
「じ、自分でよければ……」
『『本当!?』』
か細い声で貝丞が承諾すると、ラグーナとミュラは猛烈な勢いで念を押して来た。彼はガクガクとうなずきそれに答える。
「う、うん。なる。あなた達の主人になる」
『『ああ……』』
姉妹の顔に狂喜の笑みが浮かんだ。目には涙が浮かび、次の瞬間二人とも貝丞に飛び付いて来る。
『『ご主人様っ!』』
「ひっ!?」
彼女達の欲望剥き出しな表情に、貝丞はびびってたじろいだ。だがベッドの隅(同時に部屋の隅でもある)にいる以上どこにも逃げ場はない。

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