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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 4

どちらにしろ今はなるようにしかならない。覚悟を決めた貝丞は自分の体を落ちるままに任せた。どこかは分からないが飛ばされる目的地に無事到着しなければ話にならない。
このまま落ち続けて着地する所の地面は固いのだろうか?受身は取れるだろうか?いや地面が見えていないから無理だ。骨折覚悟で足を下に向けておくか。それとも腕にしておくか・・・
結局の所貝丞の思考は無駄に終わった。急に下の方が明るく輝いてきたかと思うと次の瞬間、地面に立っていたからである。そこは光でも闇でもなく普通の地面だった。どのくらい普通かと言うと、
「どうやら、少なくとも地球からは弾き飛ばされずに済んだようだな」
と貝丞が錯覚する程度に普通だった。小高い丘の中腹の森の中にいるようでそう遠くない場所に町らしきものが見える。
貝丞は自分の体をすぐにチェックした。負傷はない。着ているものは稽古をしていた時と同じTシャツと短パン、首に掛けたタオルもそのままだった。
「まずは着地成功だな。さて、家に帰る算段でもするか」
貝丞は町に向かって歩き始めた。町に行けばここがどこなのか分かるだろう。日本国内なら御の字だが、そうそう上手くいくだろうか・・・
町には意外と早く着いた。元々大して離れていなかったのと途中から小走りになったせいもある。
だが貝丞の表情は落胆に沈んだ。
「やっぱり外国か・・・」
町並み、行き交う人の容姿服装、どれを取っても現代日本のそれとはかけ離れていた。そう。ここは明らかに日本ではない。
「こうなると分かってたら、パスポート持参で稽古したんだけどな・・・」
こうなると分かっていたら普通稽古自体休むはずだが、この時の貝丞にはそこまで思い及ばなかった。またよく注意して見れば通行する女性の多くが、地球上ではほとんどお目にかかれないほどの爆乳を誇っていることが分かるのだが、これまた当時の貝丞の精神状態で認知できるところではなかった。
「こうなったら選択肢は二つに一つ。日本の大使館、領事館に駆け込むか自力で帰るかだな」
日本と国交がない国はそうはない。もっと大きい都市に行けば大使館か領事館があるだろう。そこへ行って・・・
――この事態を何て言って説明するんだ?
「神社でトレーニングしていて気が付いたらここにいました」では帰りの飛行機より精神病院のベッドに乗せられる公算が高い。
――今のご時勢「ナゾの集団に日本から拉致られました♪」と作れば信じてもらえるかもしれないが、それだとこの国の人達に迷惑がかかるな・・・

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