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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 28

「痛いけど問題無いみたいだ……」
貝丞の率直な答えに、女性は優しげに微笑む。
「そう、それは良かったわ…あたしはラグーナ…一応治療は成功してるけど、まだ動いちゃ駄目よ」
まるで子供を諭す母親のような表情に、どことなく貝丞は惹かれてしまう。
暫くボーッと見詰めてたらしく、クスクスと笑うラグーナの声で我に帰る。
気恥ずかしさを誤魔化すように、貝丞は取りあえずの疑問を口にした。

「俺って…何日寝てた?……それとミュラは?」
「何日って?…昨日よ、試合したのは…」
…昨日って?!…昨日今日で治る怪我じゃないだろ…
貝丞の疑問は顔に書いてあったらしく、ラグーナは笑いながら口を開く。
「あたしが魔法で治癒したわ…本当に貴方は魔法の無い世界から来たみたいね…貝丞くん……」
この時、貝丞の頭はまだ混乱していて、ラグーナが何故名前を知っているのか理解できなかった。

「それからミュラは…『勝負としては貴方に負けた』って、結構落ち込んでるわ……あの娘は、試合の勝敗に関係無く、貴方をご主人様として全てを捧げたいみたいよ…ここに呼んであげようかしら?」
「いや…俺…まだ状況読めないし…取りあえず…」
まだまだ混乱気味の貝丞を気にする事無く、ラグーナは部屋の外に向かってミュラの名前を呼ぶ……すると、走ってくる足音がこちらに向かってきたのだ。

その音を聞きながら、貝丞は先程ラグーナが言った言葉を思い出していた。
――魔法のない、世界か……
ということは、ここは魔法というものが存在する、自分が今までいたのとは違う世界なのだろうか。確かにそう考えれば急に言葉が通じたことや怪我が異常に早く治ったことなど、いろいろなことの説明が付く。
だが貝丞は、まだそのことを認める勇気を持てなかった。言うまでもなく、自分が今異世界にいるということは日本に帰ることが不可能かも知れないことを意味するからである。
――できることならこのラグーナさんが俺をからかっていると信じたい。信じたいけど、とてもじゃないがそんなことをする人には見えないな……
うつむきかかった時、部屋の入り口からミュラが姿を現した。
『ラグーナ!貝丞は!?』
「あっ…」
貝丞は考えるのを止めて顔を上げた。すまん現実、もう少し逃避させてくれ。
「ミュラさん、昨日は…」
『貝丞っ!』
挨拶しようとした貝丞だったが、それより早くミュラが胸に飛び込んできた。彼女の体は勢いよく貝丞にぶつかり、彼はその衝撃でベッドに押し倒されてしまう。

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