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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 26

さらに左のパンチを空撃ちしながら突っ込み、先程のように距離を詰めようとする。だが時間が経ったせいかミュラのフットワークは元通りに回復していた。どうしても一定以上接近できない。
――しまった、さっきのうちに一か八か肩を入れてみればよかった!
貝丞は後悔したがもう後の祭りである。まごまごしている間にミュラが左の回し蹴りを貝丞の頭に放ってきた。
「うっ!」
もう体を後ろに反らせる避け方はできない。手でガードするのは問題外だ。貝丞は体を沈めてやり過ごそうとした。
ところがそれを読まれていたのか、途中で蹴りが軌道を変えて貝丞の頭を追ってくる。
――何!?
咄嗟に貝丞は左手をかざそうとしたが遅かった。
ゴツッ!
「がっ!」
低い体勢のまま、頭に蹴りを食らってしまう。予想していた以上に凄まじい衝撃だ。
「ああ…」
どうにか耐えて立ち上がった。だが足がふらつく。ミュラは止めとばかりに大きく踏み込み、再び左の回し蹴りを放った。
『終わりだよ!』
「うおおおっ!!」
気が付くと貝丞は全身を回転させ、脱臼した右腕を振り回して手の甲でミュラの側頭部を打とうとしていた。
カウンターと言えば聞こえはいいが、何もしないよりはまだマシというのが真実に近い。
『なっ…』
もとい、貝丞の右手は動かないと思い込んでいたミュラを驚かす効果はあったようだ。だがすでにその時、彼女の蹴りは加速を終えていた。
ビシャッ!
ゴンッ!
二人の攻撃は同時に相手の頭部を捕えた。どちらも直撃だったが威力は雲泥の差だ。ミュラがわずかにぐらついただけなのに対し、貝丞の意識は半分以上刈り取られていた。辛うじて失神せずに済むのは皮肉にも右肩の激痛のおかげである。
「っ………」
それでも意識が混濁した貝丞は次の瞬間、無意識にミュラの腰に組み付こうと足を踏み出していた。
――おいおい。駄目だろそりゃ!
当然この状態でタックルを仕掛けてもうまく行かない。貝丞も頭ではそうと知っていたが、体はもう言うことを聞かなかった。
『フッ!』
案の定、蹴り足を引き戻して体勢を整えたミュラは右の膝蹴りで貝丞の顔にカウンターを入れようとする。もう避けられなかった。
――こういう時、どういう顔をしたらいいか分からない。やっぱり笑えばいいのかな?
「あははは…」
ガツッ!
ミュラの膝と貝丞の額が鈍い音を立てて激突した。貝丞の目の前に火花が散り、次の瞬間何も分からなくなる。うつぶせに倒れた貝丞は、ミュラの右足に左腕を引っ掛けたままもうぴくりとも動かなかった。

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