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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 24

「くっ…」
『いい加減に諦めなよ!左手だけでボクに勝てると思ってるの!?』
「右腕なんて飾りです!偉い人にはそれが分からんのです!」
『え?』
強がりを言いながらも、さすがにそろそろ危ないかもと貝丞は感じていた。負傷箇所もばれた今、やれることは大分限られている。
『このっ!!』
パンチが当らないことに業を煮やしたミュラが、右手を伸ばして貝丞の左手を掴みに来た。掴まれては敵わないとばかり、逆に貝丞がミュラの手を掴み返す。だが結局、唯一動く左手がふさがってしまったことに変わりはない。
『はあっ!』
ミュラが大きく左手を振りかぶった。掴まれた右手で強引に貝丞の肩を押さえ、左拳を振り下ろして顔を殴ろうとする。
「げげっ!」
手でガードすることも避けることもできない。貝丞の額に冷や汗がにじんだ。
――もう駄目だ!あれをやるしかない!
「それっ!」
貝丞は右足を振り上げ、ミュラの左の二の腕を足の裏で押さえて殴られるのを防いだ。さらにその足を上に滑らせながらミュラの右手を自分の右肩の方に引き寄せる。
『何を!?』
「くおおっ!」
貝丞は両足でミュラの首と右腕を挟み込んだ。さらに相手を自分の股間に引き寄せて深くホールドしていく。最終的にに右の足首を左の膝裏で引っ掛けた。
『ぐ…』
「これでどうだ…?」
貝丞は両足を使ってミュラの首を絞め上げた。さらに強く絞まるよう左手で相手の頭を自分の方に引き寄せる。これで右腕(中略)しかなかった。
『……!!』
それでもそれなりに効いているらしく、ミュラは手で貝丞の足を外そうともがいた。だがいくら力が強くても手の力では足には敵わない。次第に彼女の体からは力が抜けていった。
――もう一息だ!
ミュラが失神したら体を入れ替え自分が上になってから離れ、彼女が動かない所を周りにアピールすればいい。そう思う貝丞だったが、ふとある考えに至った。
――ひょっとして、今ならレフェリーとも会話できるんじゃないかな?
もしそうならミュラが失神したのをレフェリーに確認させ、試合を止めてもらった方が早いし彼女にとっても安全だ。そう考えた貝丞は右手でレフェリーを手招きした。脱臼はしているがそれくらいなら何とかできる。
「ちょっと来て!こっちこっち!」
すると言葉が通じたのか身振りが通じたのか、今まで遠くから二人の戦いを恐々見ていたレフェリーが走り寄って来た。
ところが何とした事か、貝丞とミュラの近くまで来た時彼は足をもつれさせて転んでしまう。
「○×△!!」
「え…?」
倒れ掛かるレフェリーの頭は貝丞の頭めがけて落下していく。下になってミュラを絞め上げている貝丞がそれを避けられるはずはなかった。
ゴン!
「がっ!」
貝丞はまともにレフェリーの頭突きを食らってしまった。失神こそしなかったものの体の力が一気に抜けてしまう。

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