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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 23

――ひょっとして、さっきのヒールホールドが効いてるのか?
いくら貝丞が加減していたとは言え、長い時間関節を捻られていたのだから多少の影響があってもおかしくなかった。もっとも軸足にして体重を乗せられるくらいだから大したことはないだろうが…
――怪我をさせたなら不本意だが、この際この状況を利用させてもらおう!
「はあっ!」
貝丞は一度前蹴りを空撃ちした。その足を前に下ろしてミュラの懐へ一気に飛び込む。
『くっ!』
後退して距離を保とうとするミュラだったが、やはりそのフットワークは場外に落ちる前よりも鈍かった。ついに貝丞の攻撃が届く距離になる。
「でやっ!」
貝丞は左の回し蹴りをミュラの右足に叩き込んだ。
バシーン!!
『うああっ!』
苦痛に顔を歪めたミュラが左足を大きく振り回し、また貝丞の頭を蹴ろうとした。
「おっと!」
先程と同じように体をのけぞらせて避ける貝丞。だが…
――何!?
貝丞は思わず息を飲んだ。蹴り足を途中で止めて下ろしたミュラが貝丞の胴に飛び付いて来たのである。
よく考えたら相手がそうしてこない保証など何もないのだが、打撃が得意っぽいから多分組み付いてこないだろうと貝丞は勝手に考えていた。
――しまった!
貝丞に比べればただ組み付くだけの拙いタックルだった。だが不意を突かれたのと踏ん張りが効かない姿勢だったのとで、貝丞は床に押し倒されてしまう。すぐに両足でミュラの腰を挟んで防御の体勢を取った。先程とは逆の状態である。
「くっ!」
――負傷したのが右腕だとばれるが、もう仕方がない!
これ以上腕を動かさずにいたら負ける。
そう考えた貝丞は体を動かし、左の脇の下にミュラの首を抱え込んだ。さらに左の手首をミュラの喉元に突っ込んで絞め上げる。
『ぐうっ!?』
ミュラがうめき声を上げる。貝丞は両足で相手の腰を押し、さらに強く絞めこんだ。観客席からは歓声と悲鳴が上がる。
「うおおっ!」
これで右腕も使えば完全に極まるのだが、生憎今の貝丞にはそれができない。片腕で何とかするしかなかった。
『くうう…』
ミュラはミュラで両手で貝丞の左腕を引き下げ、首を絞められないようにしている。
一本の腕と二本の腕の勝負は、次第に後者が有利に展開していった。
――いけない!
焦った貝丞はこれ以上腕を引き下げられないよう、左手で自分のTシャツを握った。だが薄い布地なのでビリビリと破れてしまい、結局意味をなさない。
――やっぱり柔道着を着たかった!
後悔しても後の祭りである。とうとうミュラは貝丞の腕を完全に引き下げ、脇の下から頭を引き抜いた。
『えいっ!はあっ!』
自由の身になったミュラが貝丞の顔目がけて拳を振り下ろした。貝丞は頭を右に左に動かしたり左手でガードしたりして、どうにかしのぎ続ける。

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