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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 18

堕ちたと思ったのであろう。力が抜かれた。その瞬間を見逃さず貝丞は拘束から抜け出した。
「ぷはあっ!げほっ!ごほっ!はあ、はあ…」
拘束から逃れた貝丞は大きく下がって距離を取った。相手に注意を払いつつ何度か深呼吸をして体に酸素を行渡らせる。
騙されたと悟ったミュラが激怒して襲ってくるかと思いきや、彼女は元の体勢から立ち上がりもせずに微笑さえ浮かべて貝丞の方を見ていた。
――おかしいな。ひょっとして俺が気絶していないのを知っていて放したんじゃないか?
咄嗟に気絶を装ったものの、考えてみれば貝丞はこの試合ですでに一度『死んだ振り』をしている。二度目が通じたのは少々腑に落ちない。
大体本当に貝丞が気絶したと思ったならさっさとレフェリーを呼んで試合を止めさせていただろう。貝丞が先程の試合でそれをしなかったのは単に言葉が通じなかったからだ。
また体勢を入れ替えて馬乗りになってから力を緩めて様子を見る方法もあった。
それをしないでただ放したのはここで仕留めなくても勝てるという余裕の表れだろう。どうやら貝丞はからかわれたようだ。
そうなると偽装が功を奏して脱出できたと考えたことが急に恥ずかしく思えてきた。
――この恥は今雪いでおいた方がいいな。今後のために!
しかし、微笑みかけてくるのはなぜだろうか?
なめられているのか、はたまた……試されているのか……
そう思っているといきなり彼女が口を開いた。
何を言っているかはやはりわからない、だが、意味だけが頭に響いた。

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