PiPi's World 投稿小説

メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 14
 16
の最後へ

メロン・ワールド 16

――しょうがない。あれでもやるか!
貝丞は左右の拳を頭の上まで上げる。両腕で頭をガードする格好になった。これで頭を蹴られても耐えられる(ように見える)が、胴体はガラ空きである。
案の定ミュラは貝丞の無防備な胴体に左の回し蹴りを放ってきた。掴まれることを警戒しているのかあまり威力のない戻す速さ重視の蹴りである。
貝丞はそれをガードせずに体で受けた。一応左足を左に出して体を動かし威力を逃がしたが、痛いどころではない。
「っっ!!」
それでもミュラがあまり力を込めていないので倒されずに済んだ。
ガードする腕を下げず、痛みをこらえてそのまま立ち続ける。ミュラが怪訝な顔をするがすぐに右足で貝丞の脇腹を蹴った。先程と逆に右足を右に出して、体で受け止める。
そのあとは同じことが延々と続いた。貝丞はどんなに蹴られても腕を下げず避けもしなかった。ミュラの蹴りがヒットするたびに観客からは悲鳴と歓声が巻き起こった。
しかしいつまでもこれを続けるわけには行かない。貝丞は少しずつ動きを鈍く小さくしていった――実際よりも大きなダメージを受けているように見せかけるために。
ついに貝丞が完全に棒立ちになった。
それを見たミュラはもう貝丞に反撃する力はないと見たのだろう。大きな動作で左足を繰り出し、威力の込められた止めの回し蹴りを放った。
「ハアアッ!!」
だが貝丞はこれを待っていた。
――よし、今だ!!
右足を出して体を大きく左にひねり、蹴りを背中で受け止める。思い切り当てられるが腹を蹴られるよりはずっと痛くない。
引くのが一瞬遅れたミュラの左足を貝丞は右腕で抱え込んだ。
ミュラの顔に初めて「しまった」という表情が浮かぶ。
「でやあっ!」
貝丞は抱えた足を左の方に投げ出した。
ミュラが大きく体勢を崩す。
「うおおっ!」
下がりながら体勢を立て直そうとするミュラ。貝丞は突進して彼女に組み付いた。右手を相手の左脇に入れ、左手で相手の右腕を抱えて動かないようにする。
ミュラの大きすぎる胸が邪魔で思うように密着できない。
だがここで相手を床に転がせないと貝丞は負ける公算が高かった。
突き放されないよう注意しながら(なぜかミュラは貝丞から離れようとしなかったが)慎重に投げを打つタイミングを計る。
――行くか。
貝丞は腰を落として重心を低くし、ミュラの上体を左前に押し込んだ。ミュラの体重がその右足にかかる。
その瞬間を狙って貝丞は左足をミュラの両足の間に放り込んだ。その足でミュラの右足を引っ掛け、自分の方に引っ張りながら体重を前にかけて一気に押し倒す。大内刈りだ。
観客から驚愕の叫びが起こった。ミュラが床に倒されるようなことはあまりないのだろう。下手をすると今まで一度もなかった可能性もある。
もっとも当のミュラは至って冷静で、顎を引いて頭を打たないように倒れると足を開いてその間に貝丞を迎え入れた。ぶっちゃけ正常位である。
――倒すことは倒した。次はもっといい体勢に持っていかないと。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す