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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 15

ほとんど殺し合いに近いルールで女性と戦うなど、できれば遠慮したかった。
――・・・帰ろう(汗)
貝丞はミュラに向かって一礼すると回れ右してTシャツとタオルを拾い、舞台を下りようとした。
だがどこからともなく警備員らしい人間がわらわらと沸いて出てきたかと思うと、舞台の下から棒を突き出して貝丞が下りるのを邪魔した。
さらにレフェリーがあわてて駆け寄ってきて貝丞の腕をつかみ、舞台の中央へと再度引っ張っていく。
――仕方ない。やるしかないな。早いとこ終わらせてオサラバしよう。
腹をくくった貝丞はタオルで体を拭くとTシャツを着た。さすがに上半身裸で女性と取っ組み合うのは気が引ける。まして相手はあれな格好なのだ。できれば柔道着を着たいくらいだがないので仕方がない。
だが貝丞がTシャツを着ると観客(主に女性)からブーイングが起きた。何でだろう?
着終わってミュラの方を向くと彼女は両手を胸の前に構えた。どうやら例の賭博はやらないようだ。賞金はないかもしれないが待たずに済むのはありがたかった。
――やるからには全力で行かないと。手を抜いたら多分やられるだろう!
貝丞も構える。
レフェリーが試合開始を宣言した。
――まずは様子を見るか。
貝丞は相手との距離をじりじり詰めて仕掛けを誘うことにした。消極策だがどのような戦い方をするか分からない相手に無闇に仕掛けるのは危険だろう。
ここはカウンター狙いで行ってみようと思った。
ミュラと貝丞では相当なリーチの差がある(オグロロとの差ほどではないが)。まずミュラの攻撃が当たる距離になった。この距離だと貝丞は反撃できないのでさらに距離を詰めて・・・
「くお!!」
貝丞は急いで右足を後ろに引きながら上体をのけぞらせた。
ミュラが全く無駄のない動きで左の回し蹴りを貝丞の頭部に放ったのである。
辛うじて反応が間に合い、かわすことができたがそれでも蹴り足が額をかすめた。熱さを感じる。血が出たかも知れない。
貝丞が元の構えに戻り、蹴りをすかされたミュラも一回転して元の体勢に戻った。巨大な乳房がぶるんぶるんと揺れる。その揺れが収まった頃に観客から大きな歓声が起きた。
――凄まじい蹴りだ!俺も観客だったら思わず喝采していただろう!
だが実はその歓声はミュラの蹴りをしのいだ貝丞に対するものだった。
ミュラの蹴り技はそれほどの伝説になっているのだ。もちろん貝丞は知らなかったが。
ミュラが左足を踏み込み今度は右の回し蹴りを貝丞の頭に放った。
「うあっ!」
今度は右足を右に流しながら両腕を上げてガードした。受けた両腕がしびれ、しばらく感覚がなくなる。
――このままじゃやられる。距離を詰めよう。
貝丞は左足を大きく踏み込み左のパンチをミュラの顔に放とうとした。だがミュラは距離の取り方が巧みだった。貝丞が前進しても足で回りこんで近寄らせない。
それならと貝丞が後退して距離を取ると素早く追って来る。

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