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メロン・ワールド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メロン・ワールド 13

見たいのは山々だがこの格好で勃起してしまったら隠しようがなく、いくらなんでも体裁が悪い。
実を言えば今でさえちょっとやばいかもな状態なのだ。
だが貝丞の心配は杞憂に終わった。いやむしろそれ以上に斜め上の事態になったというべきか。貝丞と一緒に舞台の上に立っていたレフェリーが、いきなりミュラに向かって跪いたのだ。
――なんだ?ラウンドガールでもストリッパーでもなくて、どっかのお偉いさんなのか!?
少なからず驚いた貝丞だったが、ここは郷に入っては郷に従えだとばかりにレフェリーの真似をして跪いた。
――もしかしたらさっきのセコンドをぶちのめしたのを咎められるのかも知れないな。
あまりの選手への待遇のひどさに我を忘れてしまったが、この国ではあれで普通なのかも知れない。
だとしたら外国人の自分がとやかく言っても始まらない話だ。セコンドを気絶させたところで何の解決にもなっていない。むしろ貝丞の方が非常識ということになる。
――しかし舞台の上でセコンドが選手に暴行を加えてもいいとまでは認められていないはずだ。
あのオグロロを理不尽な暴力行為から守るための正当防衛だったとゴネてみるか。
あるいは逆ギレを承知で選手への待遇について意見してみるか。
――でもどっちにしても言葉が通じないんだな・・・
貝丞は言葉の通じないこの状況でミュラに向かってどう応対したものか考えあぐねた。
だがミュラは何を言い出すでもなく、貝丞の方を向いて悠然と微笑んでいるだけである。
――ひょっとして別に俺と関係ないんじゃないのか?
自分の後ろの方に何かあるのかもしれない。そう思った貝丞は非礼を承知でミュラから目線を外し後ろを振り返ってみた。
特に変わったものはない。貝丞はまたミュラの方を向いた。
しばらく経つとミュラが両手を上げて観客を制する仕草をした。
するとあれだけのやかましい歓声が嘘のように収まり、舞台は静寂を取り戻す。
レフェリーが跪いたまま何事かをミュラに向かって話しかけた。ミュラもこれに応じ、しばらく二人の間で会話が続けられる。
――何を話しているんだろうか?天気の話じゃないだろうし、レセプションに対するクレームでも会場の使用料の取立てでもなさそうだなあ。
しかし乱闘行為を咎められるのではなく、対戦相手もいないならぶっちゃけもう帰りたいところである。
――早く日本の大使館探してパスポートの再発給受けないと・・・(本当はなくしておらず、日本の自宅にちゃんとあるが)いや、その前に現地の警察で盗難紛失証明書ってのをもらわないといけないんだった。そのためには日本語か英語のできる通訳雇わないとダメだよな。でもどうやって探そう?
――「日本語できる人」なんてプラカード持って立ってたら「ここに不審な外国人がいます」ってラッパ吹いて宣伝するようなもんだしなあ・・・それにもし日本と国交ない国だったらどうしよう。ああ欝だ・・・

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