気弱な少年とセクシーな仲間達 100
もちろんレイにだって分かっている。
しかし…
「足が、地面から離れないんです!」
叫ぶ間にも必死に動こうとするレイ。
しかし彼女は全く動けなかった。
驚いた大和がレイの足元をみる。
するとそこには、レイのすねから地面にかけて炎のような物がまとわりついていたのである。
レイが足を動かそうとしても、炎がまるで接着剤のような役割をはたし、決して離そうとしない。
ここにきてようやく大和はリクゥの本当の狙いが分かった。(あいつの狙いは、レイだったんだ!)
理由は簡単である。おそらくは、自分の“遊び”を邪魔されたからだ。
おまけに口答えをしてしまった。
それだけでもリクゥにとっては十分目障りな存在なのであろう。
「レイ!」
思わず叫びレイに走りよる大和。
「王、危険です。早く逃げて!」
レイは剣を抜き、足を封じ込める炎に向かって振っていた。しかしこれがまた頑丈に出来ている。
これは炎ではなく鋼ではないかと思うぐらいである。
大和もとっさにガルドを抜きレイを助けようとする。
「王様!」
ジェンも2人を助けようと動こうとした。
「ええい!!」
あまりのことに驚いた大和は決死の勇気を奮い起こし、レイを押し飛ばそうと飛び込む。
何とか炎の球より先にレイを横に押し飛ばし、一緒に倒れこむ。
レイを下に、覆いかぶさる形で炎の玉の進路の近くに倒れこんだ直後、彼の背中の上を炎の球が通り過ぎていった。
瞬時に周囲の空気が灼熱し、息も出来ない。同時に、レイの足にまとわりついていた炎が、大和の足を焼いてゆく。
無我夢中で背中を焦がす激痛をこらえる。
何分間にも感じられたが、おそらく一瞬のことだったのだろう。自らの脚を焼く痛みも、背中の火傷の傷も無視して、レイを呼ぶ。
「レイ、レイ!!」
「ああ・・・・王よ・・・・。」
「王様!!!」
「大和君!」
ジェンとマルティールが彼の背中を見て叫んだ。
彼らの目には、無残に肌を焼かれた大和の背中が映っていた。
が、次の瞬間リクゥの怒りの力により、息を吹き返した狼達がジェンの肩に噛みついたのである。
「痛ッ!!」
思わず顔をしかめるジェン。
肩から大量の血が吹き出す。
彼女はその噛みつき攻撃で不覚にもその場に膝をついてしまった。
その間にもゆっくりではあるが炎の玉は確実にレイに向かって進んでいる。
「王様!」
ジェンは肩の痛みも忘れ叫んだ。
一方の大和とレイも焦っていた。
グングン迫ってくる炎の玉に、全然弱まらないレイに絡みつく炎。
「大和様、危険です!早く逃げないと」ガルドも思わず声を荒げる。