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気弱な少年とセクシーな仲間達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達 99

だが、それに答える声は無く。
代わりに人影が氷の矢を何発か撃ちながら接近してきた。
その人影に向けてシュウも何かを投げる。
その人影がシュウの投げた物を打ち落とす間にも足を止めない。
一気に距離を詰めたそれに、シュウは素早く刀を抜いて襲い掛かる。
ギン!
両者の動きが止まった時、人影の正体が明らかになった。
シュウと刃を交えているのは、蒼い鎧にマント姿、右手に剣、左手に杖を持った青年だった。
「貴様、何者だ・・・?」
「母上の敵は取らせて貰う。」
「よもや、貴様アーカートか!」
「おお!坊ちゃまだ!」
「アーカートさん!」
魔道師たちの何人かから声が上がる。
「その娘さんを!」
「はい!!」
喜びに沸く声とともに、気を失ったかすみが魔道師たちにひきとられていった。
一方、こちらはリクゥと対峙する大和たち。
執拗に現れる狼と戦う大和たち。
「アーカート坊ちゃまだ!」「アーカートさんが戻ってきたぞ!」といった喜びの声を遠くに聞きながら、眼前の相手が手一杯で向こうの状況を知ることも、かすみが窮地を脱したばかりだと言うことも知ることが出来ない。
「ぐげっ!」
「ぎゃぐっ!」
大和たちは必死に防ぐが、一部の狼が兵士たちを少しずつ削ってゆく。
大和たちも次第に追い詰められてゆく。
その外側で、不意にどよめきが生まれた。
「があっ!」
「てぇっ!」
「王様!」
「王よ!いずこですか!」
「レイたちだ!ここだよ!!」
囲みを破り、レイとジェンが飛び込んできた。
「ふうん・・・折角のボクの戦いに水を差すんだ。」
「何が水を差すだ。合戦にこの程度のことはつきものだろう!」
レイに言われリクゥは少しうつむいた。彼の体が微妙にふるえている。
「うん。確かに、合戦では当たり前だと思うよ…でもさぁ…」
彼は少し間を空ける。
「でもさぁ…僕がせっかく彼と遊んであげてるのに…邪魔をするなんて…」
その声は先程の声より低く、また怒りに満ちていた。
そしてその怒りは確実にレイに向けられている。
「許せないんだよ!!」
リクゥが顔を上げ同時に手を大和達に向ける。
次の瞬間、半径5メートルはある巨大な炎の玉が、彼の手から現れ、大和達に向けて放たれた。
「ヤバい!」
ジェンが叫んだ。
これに関しては、大和も同意見である。「避けろ!」
大和が叫んだのと同時に、炎の玉の進行方向にいた者達が一斉に真横に飛び退いた。
もちろんその中には大和やジェン達も含まれる。
真横に避け、大和が地面に倒れ込む。
大和はすぐに起き上がり後ろを振り向いた。その瞬間彼の心臓は張り裂けそうになった。
なんと炎の玉が向かってくるのに、レイだけがその場から動いていなかったのである。
「何やってんのレイ!早く避けて!」
大和が声の出る限りに叫んだ。

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