気弱な少年とセクシーな仲間達 83
その頃…
かすみは1人月明かりが照らす草原の街道を走っていた。
(…明日までか…厳しいな。)
かすみは走りながら考える。
(…大体1000q離れた軍の正体を掴めって1日じゃ無理だろ…)
いくら風魔のトップクラスのくノ一と言っても出来ることと出来ないことがある。
(…もう夜か。今頃大和は誰かとHしてんのかな?)
大和に抱かれたことを思い出し、股が濡れる。
(…任務が終わったら抱いてやろうかな?)
自分が大和を騎乗位で責めている妄想をして、ニンマリと笑うかすみ。
(…もう大分走ったな。少し休もうか)かすみはそう思い近くにあった木にもたれかかった。
その時…
不意にかすみは遠くの方に何か砂煙が巻きあがっているのを見つけた。
その砂煙は段々近づいてきて、地響きまで感じている。
(一体なんだ?)
とりあえず木の影に隠れて様子を見るかすみ。
そしてそれは少しずつ近づいてきた。
(…あれは馬に乗った兵士か?)
地響きの正体は騎兵隊らしい。
しかしかすみが知る兵隊とは雰囲気がまるで違う。
その兵士達は兜や鎧さらに持っている槍まで全てが黒一色で統一されていた。
さらに乗っている馬も一頭一頭が名馬と呼ぶに相応しい馬であった。
驚くべきことはその部隊が、全く乱れを見せずに全速で二列で走っていることだった。
(…数は…ざっと50騎。まさかこいつらが?)
しかし有り得ない。ルカジマから1000q離れた城を出発したのにたった半日でここまで来るなんて。しかしその謎は二列で進軍する部隊の先頭を走る男を見た瞬間に解った。
先頭を走る男は他の兵士と違い金色の鎧を装備しており、頭には兜の代わりに触角のようなものが2本ついている飾りを被っていた。
乗っている馬は、全身血まみれに見えるぐらいに真っ赤である。
持っている武器は方天画戟と呼ばれる物で、形は槍のようだが先端の左右に三日月型の刃が取り付けてある。
つまり先端の槍では相手を突き刺し、左右の刃は相手を斬り裂いて使う扱いが難しい武器であった。
かすみは先頭の男の顔を見ると絶句した。
(…あの男はまさか!)
かすみが驚いているうちに騎馬隊は猛スピードで彼女を通り過ぎていった。
かすみが慌てて後を追う。
(…まずい!奴らが目指しているのは
…ルカジマ!)
かすみもまた全力でルカジマに走った。
そして朝10時頃…
予定より少し早く魔王軍はやってきた。
その魔王軍5千を束ねる男、ギルダーはイラついていた。
(一体何故に俺がこんな町を攻めなければならないんだ?)ギルダーはデュランの配下として長年使えてきた。そしてようやく実績が認められ自分の手で軍を動かす日がやってきたのである。それなのに…
(なのにその記念すべき最初の戦がこんな町とは…)
ギルダーは持っていた槍を握りしめ、ルカジマの町を睨みつけた。
(…たかが2千余りの敵。楽勝だな。)