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気弱な少年とセクシーな仲間達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達 246

ドサッ!
地面の乾いた音が辺りに響き渡る。
「ここまでか。君はよくやったよ。私にこの技を使わせるとはねぇ……」
ハディストのこちらに近づいてくる足音が、エミリアの耳に入ってきた。
「……ハァ…ハァ…ハァ…」
しかし、エミリアに立ち上がる力は残されていない。例え残っていたとしても、ハディストの瞬間移動の正体が分からないのではどうしようもなかった。
(……このまま…終わってしまうのか……)
エミリアのまぶたがゆっくりと閉じていく。もはや、闘う気力さえ彼女には残っていなかった。
そして、彼女の意識が完全に途切れかけた、その時だった。
「諦めるな、エミリア!」
突然、女性の声が彼女に聞こえた。エミリアの意識が少しだけ戻る。この声に彼女は覚えがあった。
「……母上?」
エミリアが誰にも聞こえないくらいの小声で呟いた。
「ほう、これは君の母上の声なのか。君の記憶を覗いて、君の一番思い出深い声を選んだのだが……勝手に借りて、すまないな。」
「母上?何を言って…」
「時間がない。今、私はハディストに聞こえないように君の脳に直接話しかけているのだ。通信魔法というやつじゃな。」
「……?」
「よくお聞き。ハディストの瞬間移動の正体は‘縮地法’という古流武術の技の1つだ。地面を跨ぐと言った感じかな。」
「縮地法……」
「しかし、縮地法は今ではほとんど滅亡している拳法じゃ。おそらく、ハディストは縮地法を使う古流武術の最後の生き残りなのだろうな。」
「…………」
声は母エミアの声だが、何かおかしい。年寄りが喋っているような感覚である。
「よいか、娘。縮地法は目で追っていてはまず見えない。おまけにハディストの縮地法は達人の域に達している。今のお主では無理だ。」
「……どうすれば?」
「方法は1つ。目で追わず、気配で追え。視覚だけに頼る戦いではハディストには勝てないぞ。分かったな?」
「…………」
「とりあえず、君の体力を回復してやろう。君の剣術ならハディストに必ず勝てる。諦めるな、娘っ子。」
「………あなたは誰ですか?母ではありませんね。」
「私はイリスと言う者じゃ。君が勝ったとき、現れるだろうな。ホッホッホッホッホッ………」



「ハッ!!」
エミリアが目を覚ました。顔をあげ、辺りを見回す。
彼女の周りには、ハディスト、彼の子分達、そしてハディストが帰りにさらって来たという怯えている様子の紫髪の爆乳少女しかいない。
「……今のは一体?」
夢でも見ていたような感覚のエミリアだった。

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