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気弱な少年とセクシーな仲間達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達 215

(……それだけは、決して許さん!母が命を賭けて守ったこのルカジマを、必ず守ってみせる!)
アーカートは、そう心に誓っていた。
しかし、戦いはアーカートをあざ笑うかのように魔王軍優勢で進行している。
その時、敵の一体が、アーカートの背後から襲いかかった。
「アーカートッ!」ティナが、すかさず呪文を唱え、敵の魔造兵士を吹っ飛ばす。
「油断するな、アーカート!」
「済まぬ、ティナ」
アーカートは素直に謝るが、視線はすぐに四方八方に飛び回る。
「アーカート、マズいぞ。このままでは魔王軍本体が到着してしまう」
ティナがアーカートの傍らに寄って、大声で叫んだ。
2人が立てた作戦としては、まず西から進軍してくるベリアルを短時間で撃破。その後、ルカジマの南にある巨大魔法陣に布陣。イリスの力を借りてメリツ修道院に移動という流れだった。
ところが、短時間で撃破する予定のベリアル隊に苦戦。撃破するどころか、逆に押し込まれる形となっていた。
しかも、敵は現在交戦中のベリアルだけではない。
北からは、元アルフレド三大将軍筆頭デュランと八星将軍筆頭セフィリア率いる兵10万が、少しずつルカジマに近づいているのである。
「本体が到着すれば、いくら何でも勝ち目はない。何としてもここで持ちこたえなければ…」
アーカートが目の前の敵を睨みつけながら言った。
その時、左の視界に大きい物体が自分の方へ飛んでくるのが見えた。
アーカートがそれを反射的に避ける。
そして物体がアーカートの前の地面にドサッと落ちた。
その物体を見た瞬間、アーカートは自分の目を疑った。
「ジョーイッ!」
なんと、アーカートに向かってきた物体は、親友ジョーイの変わり果てた姿だったのである。
「ジョーイ!ジョーイ!」
アーカートが駆け寄り、彼の名前を何度も口にした。
「ジョーイ!ジョーイ!頼む返事をしろジョーイ!」
だが何度叫ぼうが、返事はない。彼は既に息絶えていたのである。
「…そんな…ジョーイ…」
アーカートは親友の死を受け入れることが出来なかった。
目からは涙が溢れて止まらない。
「…アーカート」
傍らで立っていたティナが彼を慰めようと、肩に手を置いたその時…
「てめえか…アーカートってのは?」
突然、獣のような不気味な声が辺りに響き渡った。
黄土色の肌。手は熊のように巨大で、指は6本。爪はまるでナイフのように鋭く尖っている。頭には毛が一本も生えておらず、変わりに巨大な角が2本。いかつい顔つきに相応しく、口は耳元にまで避けていた。
「ほう…ティナも一緒とは。探す手間が省けたぜ…」
まるで、好物を前にした餓鬼のように、よだれを垂らしている。

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