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気弱な少年とセクシーな仲間達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達 211

先程までグニャグニャだったエミリアも元通りになっている。
大和は辺りを見回す。よく見ると、そこは大和とイリスが初めて出会った山の中腹付近であった。
(…何だか夢でも見てた気分だな…)
イリスの屋敷で起こった出来事を振り返る大和。
しかし大和の回想は、エミリアの声によってすぐに中断された。
「少年よ、どうやら状況は私達が思ったより、はるかに悪いようだぞ…」
エミリアは正面を向いたままの姿勢でポツリと呟いた。
彼女の視線の先には、大和の仲間達が待っているルカジマがあった。
中心にリスペクト魔法学校が配置されており、その周りを幾つもの住宅地や商店を囲んで形成された町、ルカジマ。
そのルカジマの各所から黒煙がもうもうと噴きあがっているのが伺えた。おそらく魔王軍が火を放ったのであろう。
しかも、火の手は中心部の魔法学校からも出ていた。つまり、中心部に敵の侵入を許すぐらいに、状況は思わしくないのである。
おまけに渦を巻いて燃え盛る火焔は、たちまちのうちに辺り一帯をなめつくしていた。
「…ルカジマが…燃えている。エミリアさん、早く助けに行かないと!」
一刻も早くルカジマを助けるため、大和は登山道に向かって走り出そうとした。
しかし……、
「一体どこへ行くんだ、君は?」
一方のエミリアは、そんな大和をジッと見据えたまま、その場を動こうとしなかった。
大和はキッと彼女を睨みつけると、
「どこって助けにいくに決まってるじゃないですか!」と珍しく怒りを露わにした。
この目の前の状況でも全く動こうとしない彼女に腹がたったのである。
だがエミリアは大和の目をジッと見据え、ただ一言…
「…歩いて降りて、本当に間に合うのか?」
「………………」
大和は何も言い返せなかった。確かに間に合わないかもしれない。だが、ここでジッと待っているよりははるかにマシだと思っただけである。
「やめておけ、悪いことは言わない。君のやり方ではルカジマには絶対に間に合わん。」

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