気弱な少年とセクシーな仲間達 185
「すぐに終わるからじっとしておれ!!」
杖から光線を出しながらイリスが叱咤する。
しかし、全身を貫かれるような痛みである。黙って堪えることなど、15歳の少年に出来るわけがない。
「痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!」
何度も何度も同じ言葉を繰り返しながら、地面をのたうつ。
しかも、大和にとってはさらに悪いことに、痛みは時間が経過するごとに、どんどん激しさを増していく。
もはや痛みと言うよりは激痛と言った方が正しい。
(……もう…だめだ…)
すでに大和の体は限界の一歩手前まで来ていた。
意識が途切れるのも時間の問題となっていた。
そして、光線による激痛がさらに激しくなったその瞬間、
(………………)
もはや限界である。大和は、自分の意識がスーッと遠のいていくのを感じた。
だが、大和が気絶したその数秒後、イリスから発せられた光線が突然ピタッと止まった。
「おや?」
その時、大和の様子がおかしいことにイリスが気づいた。
「ふむ、一応終わったんだが…。気絶するとは思わなかったな…」
予想外の展開に、ちょっとだけ困惑する。
イリスは大和に近づくと、その寝顔をソッと覗きみた。
「こうして見ると、ただの美少年にしか見えないのだがな…。」
イリスは視線を寝顔から胸の痣に移す。伝説の王の証と呼ばれる痣である。
(伝説の王…か。やはり、にわかには信じられないな。)
イリスが腕を組んで考え込む。
(この少年の魔力……数年前、彗星の如く現れ、瞬く間に四天王となった隻眼の女の魔力とよく似ている。一年前に奴と戦った時、『自分は別の世界からやってきた』とか言っていたが…)
イリスは考えながら部屋の中を歩き回る。
(それに、四天王が全く動かないのも気になる。既に、魔王軍はアルフレド全土をほぼ手中に治めかけている。残ったのはフリードとルカジマのみだ。それとて今の魔王軍の戦力から見たら象に刃向かうアリ2匹に過ぎない。)