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気弱な少年とセクシーな仲間達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達 129

(一体誰が?)
大和はずっとその事だけを考えていた。


ふと気がつくと彼は病院の前に立っていた。
(まぁいいや。犯人の事は警察に任せておけばいいさ。僕はお姉ちゃんの看病に専念しよっと…)
大和は気を取り直して、病院に入った。そしてロビーを通過し、渚の病室に続く廊下を歩いていた時……
渚の病室から看護婦が飛び出して来たのが見えた。
(なんだろう?)
突然の事に大和は歩くことを忘れ、しばらくその姿を見続けていた。
が、大和が突っ立っていると、今度は男性医師が全力で走ってきて渚の病室に飛び込んだ。
その姿を見た瞬間、大和は脱兎のごとく走った。
そして彼が病室に飛び込んだ瞬間……



ピーーーー………
大和は耳を疑った。その音は心臓が停止した事を知らせる音だったからである。大和の目に目を閉じたままの渚の姿が移った。
「お姉…ちゃん」
大和は呟きながらノロノロと歩き出した。側にいる医師と看護婦にも彼は気づかない。
そして彼は渚のベッドまで歩き……その場にひざまずいた。ベッドでは眠っているかのように渚が横たわっている。
彼には渚の姿以外なにも見えず、また何も聞こえなかった。医師の慰めの言葉さえ聞こえない。
大和の頭に数々の思い出が浮かび上がる。
笑った姉。怒った姉。泣いた姉。他にもいろんな姿が浮かんだ。
しかしもう見ることは出来ない。
大和の瞳に涙が溢れた。
そして…
「お姉ちゃーん!死んじゃやだー!」
病室、いや病院中に彼の声が響き渡った。



「大和君!大和君!」
大和の耳に自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
声のした方を向くとそこにはアーカートが立っていた。
それを見て大和は状況を思い出す。
「アーカートさん……。」
「気がついたか、大和君。大丈夫か?」「はい。なんとか…」
「よかった。とりあえず席に戻りたまえ。」
言われゆっくりと席に戻る大和。
(そうだ。ここはソフィーさんの葬儀場…で、僕は一言弔いの言葉を言おうとしたんだっけ…)
そして彼は墓の前に立って、弔いの言葉を言おうとした。
しかしソフィーの墓前に立った瞬間、彼は5年前の自分を思い出してしまったのである。



「あれからもう5日か…」
大和は図書室で空を見ながらふと呟いた。

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