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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 95

「…はぁ…」
セフィの屋敷もかなり広大だったが、クリスの家を見ると、ため息しか出てこない。庭師により手入れされた庭に噴水やら果樹園やら…どうせ風呂では獅子が水を吐き出しているんだろうなぁ…とか考えるセガルドは貴族の趣味についていけない。
屋敷の隣にある小さな小屋が気になるが、ペットの小屋とか言いそうなので敢えて触れずにおく
「何をしている。早く来い。」
呆気にとられる三人(セフィは慣れている様子)にクリスは一声かけ屋敷へ入っていく。
出迎えたのは思ったより質素(基準が壊れ始めている)な貴婦人だった。
「これは皆様、ようこそいらっしゃいました。私はクリシーヌの母、シンシアと申します。」
優雅に挨拶する貴婦人に、セフィは見合った挨拶で返すが、他の三人はポカンとしていた。
「私の母は5人いる。彼女は妹ソラの産みの親だ。」「へぇ〜、そうなんすか」ぐらいの反応しかできないセガルド。
「よぉよぉ、クリスが友達を連れてくるたぁ珍しいな。」
後ろから声がして振り返ると、作業服にタオルを首に巻いたおっさんが嬉しそうにやってきた。
「父上、只今帰りました。」

「父上!?このおっさんがクリス様の!?」
イリスが一番に声を上げる。
「イリス失礼よ!ジュダ様、お久しぶりです。」
「おぉ!クラウス様んとこのセフィリアちゃんじゃないか!でっかくなったなぁ!」
「ど、どうも初めまして。セガルドです。」
「あ〜君がセガルド君か!…?ふ〜む…クリスの話とは少し違うな…こんな真面目な週番君だったとは…」ジュダは正装のセガルドの周りをグルグル回りながらジロジロと見ている。
「あなた!客人に失礼ですよ!」
クリスに負けず劣らず厳格そうな女性が階段から降りてきた。
「いやぁ悪い悪い。ま、上がってくれよ。」
客間に通されソファーに腰掛けるとクリスが隣に座って腕をとる。胸が肘に当たっているのだが…
「クリスさん?」
「クリスでいい。婚約者らしく堂々としろ。」
すると、着替えたジュダとクリスの産みの母が茶を運んできた。
さらに奥からクリスの弟と妹もやってくる。上は20歳から赤ん坊まで。総勢13名でクリスが長女との事。おや?見た事のある人が…
「あぁ!あなたは!」
「セガルドさん、覚えててくれたんですね…嬉しいです…」
「なんだ?ソラと知り合いだったのか?」
「以前、舞踏会でこれを貰ったんです。」
セガルドは紅月に巻き付けた翡翠の首飾りを見せる。「ちゃんと持っててくれるなんて…」
頬を赤くして俯く彼女はソリア・ヴェルナード。クリスと同じ青い瞳で可愛らしく整った顔、銀色の髪を肩で切り揃えた18歳。
「ほほぅ、私の妹まで誑かしていたとは…」
「違いますって!舞踏会で初めて…」
「いぇ、セガルドさんの事は以前から知ってましたわ。2年前に街中で不逞の輩に絡まれていた時に助けていただいたのです。」
「…」
考え込むセガルド。
「お前…覚えてないな?」

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