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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 92

「いやはや、国の世継ぎに友人の結婚とはめでたいめでたい。」
ジンがパンッと手を叩くと、嬉しそうに言った。
「う〜ん…結婚は勝手にしてくれて結構ですが、王族は遠慮しときます。」
セガルドはあっさりと断りを申し出た。これにはクリスも驚いたが、どこか納得していた。
「…好きにしろ。」
「へ、王族に婿入りとは兄上もやる事が違いますな。」
「…兄上か…。どちらにしろ、貴様に渡す物がある。受け取れ。」
リグールは腰に携えた一振りの剣を床に置いた。
「いまさら剣なんて…」
「俺はもう戦場に立つ事はできない。サーシャを支えなくてはいけないからな。貴様は俺よりも竜を狩る一族の才に恵まれているんだ。だからこの竜狩りの剣をお前に託す。受け取れ。」セガルドは立ち上がり剣に手を伸ばす。指が触れた瞬間、竜族の知識が頭に流れ込んできた。
「な、なんだこりゃ…」
「それが竜を狩る剣だ。持ち主を選び知識と力を与える。」
「…竜族の力…村の…?」頭を押さえながら呟いた言葉に、ジンが反応した。
「まさか!竜族の村の位置を!?」
「どこだここは…ルクードより…北東…山…?」
「セガルド、大丈夫か?」クリスは心配そうに顔色を伺う。
「クリス、邪魔をしてはいけませんよ。」
「しかし…」
「…」
「セガルド…」
「なるほど…修業の次は旅に出なくてはならないらしい…」
「剣の導きに従え。次なる闘争が待っている。」
「ふふ、丁度よかった。クリシーヌ・ヴェルナード、今日をもって騎士団から脱退させていただく。」
「へ?」
「クリス!?」
「セガルド、一年前の約束を忘れたとは言わせないぞ?」
「??」
「私は明日より嫁ぎます。相手は…」
「ま、まさか…」
「このセガルドだ。」
「クスクス、ルカに続いてクリスもですか。」
「ルカもなのか?」
「えぇ、既に妊娠しちゃって7か8ヵ月とか…」
「貴様!ルカに手を出していたのか!奴は今どこだ!言え!」
クリスはセガルドの胸ぐらを掴みブンブンと体を振り回す。
「ぐぇ!待ってくださ…骨董…苦し…」
「クリス、それぐらいで勘弁してやってくれ。まだまだ未熟な弟だが、お前が傍で見張っていてくれるなら安心だ。」
「あぁ、任せろ。前線に出れずとも、騎士団は貴様に任せるからな。」
「…し…ぬ…」
「クリス、セガルド君が死んでしまいますよ?」
「おっと、すまんすまん」パッと手を離して鎧と剣をサーシャの前に置く。
「では、失礼致します。行くぞ。」
「うぅ…いつか殺される…失礼します…」
颯爽と立ち去るクリスとヨロヨロと後を追うセガルド。
「ふぅ、これからが大変ですね。」
「そうだな。」
「リグール、ジン、頼みますよ。」
「…忘れてない…?」
覗き込むように見ているアリシスに気付いたサーシャは慌てて呼び寄せてそれから数十分は労いの言葉をかけていた。
「はぁ…あの約束は無効になったはずなのに…」
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか…」

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