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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 90

「リリー達は王の退路を断つために西から攻め込んでるよ。マウアさんは会いたくない人がいるからって…」
「ふぅん…王はもう終わりだな。主力のほとんどが寝返って元老や将軍連中もほとほと愛想が尽きたらしいし。」
会話にゼシカとユリィが割って入る。
「セガルド君、先に進みましょ。」
「今は任務である王の拘束を優先すべきかと存じます。」
「ふむ、行くぞランド。」「うん!」

その頃、リグールとサーシャはいち早く王室の扉の前に辿り着いていた。
「サーシャ様、ついにここまで…」
「長い道程だったわ…」
「失った物も沢山ありました。」
「それ以上の物を、民から奪い苦しめた者がここに…。」
「行きましょう。我らの悲願を達成するのです。」
巨大な扉に手を掛け、ゆっくりと開いていく。
薄暗い部屋中で、一人の男が椅子に腰掛け酒を嗜んでいた。
「来たか。我が妹サーシャ、元婚約者の下民。」
「シュバル・オルグラン。貴様の首を貰い受ける。」「無礼な奴だ。王族である我の命を貴様のような奴が討ち取れると思うか?」
「貴様を殺すのは俺じゃない。サーシャ様…」
「えぇ、それは私の役目。兄様、覚悟はよろしくて…?」
「サーシャ、兄を殺すと言うのか。同じ王族の血を引く兄妹だろう。下民、貴様もだ。この場を去れば死ぬまでの贅沢を約束してやってもいいんだぞ?」
「愚かな兄様…」
サーシャは哀れみを込めた瞳をシュバルに向ける。
そして、リグールの腰から短刀を一本抜き取った。
「ふん、仕方あるまい。下民、隣にいる女を殺せ。」「なんだと?」
その時、サーシャとリグールの後、クリスが王室に辿り着いた。
「…愚かな男だ。救いようが無い。」
「クリスさん!」
「クリシーヌ。何故貴様がここにいる?」
「知れた事。」
「クリシーヌ!貴様も俺を裏切るのか!」
「お兄様…見苦しいですわ。今、解放してさしあげましょう。これで!」
「待てサーシャ!」
サーシャはクリスの前に立ちふさがる。
「クリス…貴様…」
リグールが剣に手を掛けるが…
「今は殺すな!町中を引き廻し民衆の前で処断する!今、殺してしまえば民衆は納得できない!」
「…クリスさん…リグール、あなたは納得できるの…?」
「俺は…無理だ!」
ギィン!
リグールが剣を抜きシュバルに斬り掛かる。が、クリスが割って入り刃を受け止めた。
「リグール!頼む!」
「どけ!」
「駄目だ!」
「クリス!俺たちがどんな思いでこの日を待ったか貴様にわかるか!身を隠すために山に籠もり、サーシャに泥水を飲ませた日もあった!全てはこの日のためだ!一秒たりとも生かしておく訳にはいかない!!」
「リグール!」
「どけ!どかないならば貴様も殺す!」
力で優るリグールはクリスの剣を少しづつ押していく。
「リグールもうやめて!」「サ、サーシャ…」
「リグール…クリスさんの言う通りよ…。私達は私達のために戦っていた訳じゃない…」
「…くそっ!」

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