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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 82

「悪ぃな。よっと…」
ゆっくりと腹を庇うように座るルカ。セガルは紅月を置いて目の前に座る。
この数か月で以前より落ち着いた雰囲気を漂わせながら、体は一層に筋肉質になっていた。クリスの修業の成果が確実に現われている。
「体の調子はどうだ?」
「問題ねぇよ。男か女か楽しみだぜ。」
「俺は元気ならどっちでも構わないけどな☆」
浴衣越しに腹部を撫でながらセガルドは嬉しそうだ。「羨ましい。私も欲しいけど、忙しいから今は無理なのよねぇ。」
お茶を運んで来たセフィが話に加わる。
「何言ってんだぃ!この体じゃ夜のお供はできねぇんだぜ。」
「それは困るけど…」
「だろ?」
「それはそうとルカ、いい加減に…」
「またその話か、まだ一緒には住めないんだよ。これからの出来事を全部を見届けてからじゃないと…。」「むぅ…しかしだな…いつになるかわからないんだろう?」
「そうだけど…、なぁ…我儘を聞いてくれよぉ…頼むよぉ…」
甘えるように寄り掛かればセガルドは断れないと知っているルカなのだ。
「し、仕方ないな…」
「へへ、さすがは王子様だぜ♪ちゅっ」
軽く口付けて嬉しそうに笑うルカを見ながら、セガルは困りつつも照れ笑いで頭を掻いた。
そんな事実が発覚したが、ランド、リリー所属のサーシャ率いる『狂』は、動き変わらずひたすら奴隷商を潰しながら領主貴族を殺害及び味方にしつつルクード周辺地域まで勢力図を急速に拡大。民衆や多数貴族からの圧倒的な支持を受け、兵数はこの一年近くで王国軍と対等にまで上った。
セガルド所属のクリス率いる第一騎士団は、『狂』の動きをまるで黙認するかのように王からの出動を拒否。現状は軍備増強と個々の能力を鍛え上げている。
セフィ所属のアンナ・エウドラ新団長率いる遊撃魔導団も同様、クリスの一声で反旗を翻す機を待ちながら現状を維持している。
そして、王国の魔人開発。遂に最終段階に到達し、実践配備は目前だった。
その最終実験体は第二騎士団の中から選別される。
その中に、彼が居た。
「シーガ。バルドー様がお呼びだ。」
「俺?なんで…」
彼も試験を生還した一人。クリスの目には止まらず第二騎士団配属になってしまった彼は、自分の力量の限界を知るために上を目指さずルクード警備の日々を送っていた。
「シーガ君だね。くく…」「バルドー様…これはいったい…」
呼ばれた研究塔で待ち受けたバルドー。光の無い瞳の少年、少女がフラフラと動き回っている。
「魔人になれなかった出来損ない達だよ。」
「魔人…ってなんですか」「くくく…これが何かわかるかね?」
バルドーは掌程の魔唱石を取り出す。
「ただの魔唱石じゃ…」
「違う。これは魔族の心臓を石化した物だ。」
「魔族の心臓?」
「くく…シーガ君、力を求めてみないか?何者も凌駕する最高の力だ。」
「…」
「人が力を得るに必要な要素は欲だ。君には素質がある」

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