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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 76

「そうでしょうね。竜族の村は結界に阻まれ、私でも皆目、見当がつきません。ですが、確かに人界に存在しています。」
「じゃあ…なんで邪悪竜が…」
「…戦争中、人々は竜族の力を称賛し最前線や重要拠点の一切を任せました。しかし、戦争が終結すると、竜族の力は畏怖に変わります。人々は竜を恐れたのです。その気になれば、あっさりと人を滅ぼせますからね。人々は竜族を別世界へ追いやろうと考えました。」
「…」
「しかし、竜族は他に行く宛てがない。彼らの望みは平穏と安息なんです。」
「じゃあ竜族は…?」
「人々に親善と友好の証として、理解ある男女に竜を狩る力と一組の武具を与えます。それならば、例え竜族が人々を襲っても、対等に戦える。」
「なるほど…初めて聞きましたわ。」
「しかし、今度は人界で内乱が起きます。竜族は感受性が強く知識も高い。世界に渦巻く人々の痛み、苦しみ、憎悪を受けた竜は、狂気に脳を支配されて邪悪竜となり、元となる人類を滅ぼす。」
「つまり、邪悪竜が現われたのは…」
「国が荒れた結果ですから私達、人の業なんです。」「そうだったんだ…」
「ですから、邪悪竜と言いながらも誤解はしないであげて下さいね。彼らは私達の被害にあっているだけなんですから…っ…」
「ジン様?」
「大丈夫です…。さて、本題に入りましょう。ランド君、力を求めたくありませんか?」
「ボクは…ボクは欲しいです。リリーを…セガルを…みんなを護れるだけの力が…。」
「ふふ、真直ぐな瞳ですね。アリシス、あなたでは役不足のようです。異論はありませんね?」
「…また出番…減っちゃいそう…だからやだ。それに…」
「そうです。私の弟子になるなら、君は『狂』の一員。」
「お兄様…ランド…」
「ランド君、君が道を誤れば最悪の結果になる。」
「ボクが道を?」
「はい。明日の作戦が終了したら、答えを聞きましょう。夜まで部屋で休んで下さい。」
「わ、わかりました。」
「ランド…」

……
「彼らは部屋に戻りましたか?」
「…うん…」
「私は…リリアンに恨まれる事になるかもしれませんね…」
「彼が…決める事だから…」
「待てば待つ程に危険なんです。彼が道を誤るなら…私が彼を殺さなくては…」「…わかってる…だから連れてきたの…。恐らく…彼の力は…」
「あなたも同じ結論になりましたか…」
「うん…」
「彼が…ランド君が全世界を滅ぼす器に選ばれてしまったなんて…。」
「…」
「彼が知り合いでなければ、今すぐにでも殺す事ができたのに…私が情に流されるとは…」
「私達が導いてあげるの…。彼の瞳を見ればわかる…きっと負けないよ…」
「…そうですね。私達が彼を護らなくては。」
「うん…」
「…さ、暗い話はヤメにしましょう。私は部屋に戻りますね。マリーが待ってますから」
「あんまりうるさくしないでね…あんあん耳障りで読書できないから…」
「善処します。」

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