「ガァァァァァ！」
オロチがドラゴンの目前に迫った瞬間、ドラゴンが態勢を崩してよろける。
片足が地面に埋まっていた。
「これぞ秘技・モグラ落とし！！デカ過ぎて片足しかうまっとらんが…」
「でかしたぞデカブツ！いっただきま〜す！」
ドラゴンの胴体や足回りにオロチが絡み付いた。
「グォォォ！ガァァァァァ！」
ドラゴンは体を捩り引き離そうとするが、オロチの体は完全にまとわりついている。
「なんだこりゃ！硬ってぇ！絞めらんねぇし食えねぇよ！早くしてくれ〜！」
オロチは大きな口から情けない声を発していた。
「竜は大丈夫みたいだ。これで一安心だね。」
「えぇ、でも油断は禁物ですよ。」
「ゴフッゴフッ！」
オーガに囲まれたランドルフとマウア。
「トルネド！」
「うふ、これはおまけ」
ランドルフを中心に竜巻が発生し、徐々に範囲が広がる。マウアは光の刄を竜巻に巻き込ませ、切り裂く風を巻き起こす。知能の低いオーガは直線的にランドルフに向かっていき次々に切り裂かれていく。
「ランドやオロチ君も張り切ってるみたいだし、あたし達も頑張らなきゃ♪」
「ふふ、鬼人族の神髄をお見せしましょう。」
如月は懐から大量の紙を取り出す。
「そんなにいっぱいどうやってしまってるの？」
「秘密です☆」
二人の目前に迫ったオーガロードの一部隊。リリアンは迎撃を開始。
「てや！」
ザシュッ　ザンッ
リリアンはすれ違いざまにオーガロードの首を斬り落としていく。
如月は持っている紙を空に舞い上げた。
「そ〜れ♪」
ふわりふわりと風に乗り、オーガがそれを目で追っていると…
「ゴフッガァッ！」
不意に紙が鋭利な刃物のように体に突き刺さる。それが連続し、オーガの体にみるみる紙が突き刺さっていく。
一方…
「ガァァァァ！！」
「もう無理〜っ！お願い！早くぅ〜っ！あぁ〜ダメっ！激しいの〜っ！！」
のた打ち回る竜を押さえ込むオロチが低い声で喘ぐ。「気色悪いわ！！リグールはまだか！？これ以上この蛇の声に耐えられん！！」オロチの援護のため、竜周辺のモンスターを潰しながらデイルが悲鳴をあげる。と、その時…
カスッ！
「ギャァァァァァァ！」
まるで林檎に刃物を突き刺したような音。その瞬間、竜も悲鳴を上げる。剣が竜の眉間に突き刺さっていた。
後ろを振り返ると、太陽を背に影が竜に向けて飛び上がっていた。
そのまま竜の額に着地し、剣を引き抜く。
「遅いぞリグール！！」
「おお！すげぇ兄ちゃんだ！これなら勝てるぞ！」
オロチが歓喜の声を上げると、リグールは蛇を見て冷たく言う。
「邪魔だ。死にたくなったらどけ。」
「…。ひどいよ…こんなに頑張ったのに邪魔だなんて…今晩泣いてやる！！」
シュルルルッとオロチは逃げるように離れる。ドラゴンに剣を突き刺すような奴にはあまり反抗しない方がいいと判断したらしい。
「ランドルフ達も戦っている！俺はそっちの援護に行くからな！！」
「あぁ、わかった。」