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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 45

セガルドは素手のまま構える事なく立っている。
「ばばばバカにするな!僕は第三騎士団長だぞ!」
装飾だらけのレイピアを抜き、セガルドに向ける。
「金の力だろう?ただお飾りに過ぎない。お前に団長など無理だ。期待すらしていない。彼の方が優秀だ。私の婚約者でもあるからな」
「くそぉ!!貴様だけは絶対に許さない!」
怒りの矛先はセガルドへ…本人は開いた口が塞がらなかった。
「(なんて女だ…)」
「なんだその目は?」
「いぇ…」
「隙あり!くらえ!」
トムスはセガルドの心臓を目がけてレイピアを突き立てる。
が、セガルドは一瞬の内にトムスの背後にまわりこんでいた。
「失礼、自分の勝ちで…よろしいですね?」
「ななな!貴様!どんな技だ!」
「へ?移動しただけですが…」
「(見事…極限まで無駄のない動きだ…。やはり血か…)」
「僕にもその技をくれ!」「いやですから…」
「そこまでだ。騒ぎが大きくなりすぎたな。トムス、帰れ。」
やはり敗者に情けは無用なんだなぁと染々感じたセガルド。そして、周囲の騒めきに気が付いた。
「婚約者…?」
「クリス様に…?」
「これは一大事だ!」
「君!名は!?家はどちらだ!?」
「ふふ、済まないな」
「…この辺で失礼します。本物の婚約者も待ってると思いますからね。」
「来週から騎士団勤務だ。私の自室に来い。」
「あ、もう一つの条件は規則違反の減給は無しで!」「君!待ちたまえ!」
「嫌です!」
セガルドは人込みを掻き分けて逃げるようにその場を後にする。


その頃、ランドルフ達は…「ランド〜♪どぉ?似合う?」
「うん。とても似合ってるよ。」
「私はどうですか?」
「かなり過激ですね。」
「私はいかがです?」
「清楚な感じがとても良いです。」
ドレスのお披露目会をしていた。
「なんだか騒がしいね。何かあったのかな?」
「セガルがまた騒ぎを起こしたんじゃ…」
「リリー?どうしたの?」リリアンは何を見たのか顔面蒼白になっている。
「ランド…一緒に来て…」「え?あ、うん」
どうやらリリアンはフードを深く被った男を追い掛けているようだ。距離を保ちながら中庭まで歩いていく。
フードの男はリリアン達に背中を向けたまま、立ち止まった。
「久しぶりですね。リリアン…ランドルフ君…」
「やっぱり…お兄様…」
「ジンさん…?」
男は振り返り真っすぐに彼らを見た。
「二人とも、大きくなりましたね。あの日からもう5年が経ちましたか…」
男はフードを取り、顔を見せた。少しやつれたのか、昔から線の細かった青年がまるで女性に見える。
「今日は君達に会いに来ました。感動の再会ではなく警告をするために…。悪い事は言いません。手を退きなさい。」
「ジンさん…?」
「お兄様…」
「君達が『狂』に参加するかもしれないと、アリシスから聞きました。私は反対です。」
「ボク達は…」

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