PiPi's World 投稿小説

魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 42
 44
の最後へ

魔導志 44

「これは私の意地と我儘だ。彼らが帰れる場所を私が用意したい…。彼らとは一度、袂を別ったんだ。今更…頼る事はできない…」
「?」
「君の兄は私の戦友だった。そして…奴が国を憎んだ時、止められなかった…わからなかったんだ…。腐っているとはいえ、国を守る騎士が国に刄を向けるなど狂気の沙汰だと…。しかし、奴は狂う事を選んだ。サーシャ様もアリシスもジンもルカもデイルも…才ある同期はほぼ全員だ…私だけが家に縛られ残ってしまった…」
「…」
「君の力が欲しい。頼む…。無論、タダとは言わんぞ?」
「??」
クリスは踊りながらセガルドの耳元に囁きかける。
「私が22年間、守り通してきた全てをやろう…望めば私自身の全ても…」
「なっ!?」
「不服か…?」
「…ある意味、人身売買ですよ?」
「ふふ、言えてるな。」
「それは無しにしても、二つだけ条件が折り合えば」「なんだ?」
「一つ目は気に入らなければ辞めます。」
「なるほど、いいだろう。実は昨日の内にお前の所属は第一騎士団にしておいた。」
「…早いですね。」
「何事も迅速に…だ。」
「なるほど。二つ目は…」「僕の愛しのクリスぅ!こんな下民と踊るのに何故僕は駄目なんだい!?」
遠くから間抜けな声が聞こえてくる。いかにも虫の好かないような貴族だろう。「トムスか。」
「…退散させていただき…げっ!離してください!」「そんな奴にはシャンパンでも運ばせといて、僕と踊ろう!婚約者であるこの僕と!」
無駄に大きな声で騒ぐ耳障りなトムス。
「残念だが、彼が私の婚約者なんだ。全てを捧げると約束した。」
「えぇ!?」
「げぇっ!?」
「こら、「げぇ!?」はないだろう!」
「ですから、それは無しってさっき!」
「不服か?」
「ききき貴様ぁ!僕のクリスに!」
セガルドは生きた心地がしなかった。周囲の貴族達も唖然としている。何故、自分が修羅場の中心に…
「そういう訳だ。お前は婚約者でも何でもない。知り合いかどうかも怪しいぐらいだ。」
「何故、火に油を注ぐような事ばかり…当たり障り無い言い方もあるでしょうに…。」
「事実だ。」
「…け…だ…」
「はい?」
「はっきり言え。」
「決闘だ!!貴様!僕と勝負しろ!!」
「嫌です。さよなら。」
「待てぇ!逃げるなバカモノ!」
「離せ!これ以上の騒ぎは勘弁して下さい!」
「クリスを賭けて決闘だぁ!!」
「ほら、一人盛り上がってるぞ。私を賭けて決闘とは甘美な響きだ。」
「はぃはぃわかりやしたよ〜!さ、どこからでもどうぞ〜」
「貴様…わざと負けたら女を不幸にした最低男だぞ」「う…」
「さっさと抜け!真剣勝負だ!」
「(ヤバい…こいつバカだ…宮殿を血の海にする気か…)」
「はぃ!武器がありません!残念ですがさよなら!」「だから逃げるな!!」
「貴様ぁ!僕は本気なんだぞ!」
「…はぁ…わかりました…さ、どうぞ。」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す