PiPi's World 投稿小説

魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 41
 43
の最後へ

魔導志 43

「剣聖クリスの相手が彼のような青年か」「どこの家の方でしょう…」「さっきクラウス家の令嬢と歩いていた奴だ…」「クリス様とどんな関係なのかしら…」「何者だ?クリス様の縁談の話は聞いた事がない。」「彼女が男性と踊るのは初めて見るぞ…」
「…またか…いや、さっきよりもひどいような気がする…。関係も何も初対面だっつ〜の…」
ほとほと嫌気がさしていたが、逃げ出す訳にもいかない。
「泣き言を言うな。それに初対面ではない。試験終了の時に一度だけ顔を見ている。今とは見違えたが」
「なるほど、騎士団長殿でしたか。見違えたのはお互い様ですけどね。」
「ふふ、言うじゃないか。私がリードしよう。君に任せるのは心配だからな。」「的確なご判断です」
クリスの腕前は見事だった。初心者同然のセガルドが上手く踊っているように見える。実際は踊らされている訳だが。
「それで騎士団長殿」
「クリスでいい。」
「ではクリス。」
「さすがに呼び捨てはいかんだろう。」
「ではクリスちゃん」
「いい度胸だ。」
「…クリス様、兄について聞かせてくれるのでは?」「そうだったな。なにから話そうか…」
「兄は何故、騎士を辞めてまで国に刄を向けたのですか?」
「…簡単な事だ。この国の姿に絶望した。奴は変える…それが目的だろう。王女と共にな」
「王女?」
「サーシャ・オルグラン。彼女は誘拐されたんじゃない。自ら選択した。」
「サーシャ…(リグールと対峙した時に現われた、あの女性か…)」
「彼女の兄、シュバル・オルグランが3年前に即位してから、国はさらに荒れる一方だ…。前・国王は病死と発表されたが、私は彼に殺害されたと考えている。不自然な点が多すぎるんだ。」
「…」
「現・国王は奴隷制を公認し、人身売買は公然と行なっている。税も上がる一方で市民が苦しむ中で国王は贅沢三昧。隣国との外交も最悪だ。」
「…つまり…?」
「この国は腐っている。」「誉れ高き剣聖、第一騎士団長の言葉とは思えませんね…」
「私の正直な意見だ。それで、君に頼みがある。」
「…なんですか?」
「君も奴と同じ…アーカイヴの血統だろう?」
「そうですが…それが?」「君は自分の血について知らないらしいな。兄から何も聞いてなかったのか?」「…はぃ。」
「アーカイヴ一族…何にも属さぬ自由の力…」
「自由の力…」
「君の力は強大だ。今、我が国には騎士団、魔導団が3軍団づつ…はっきり言ってまともな指揮官、騎士、魔導士は少なすぎる。皆、贅沢と平和に慣れ、肥太った使い物にならない士官ばかりだ。」
「…それで?」
「君の力が欲しい。」
「腐った国に属しては自由も何もない。気が変わりました、国に仕える騎士は辞めます。」
「違う。私自身に力を貸してくれないか?国を変える力を…」
「『狂』に頼んでは?利害が一致してますよ。」
「私はヴェルナード家の人間だ。逆賊には頼れない。」
「あなたが逆賊になる。」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す