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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 33

「は?なんで孤児院を調べるんだ?」
「…人身売買の疑いがあるんじゃないのか?ルードの孤児院にはそんな噂があるとか…」
「バカ言うな。俺と弟は、その孤児院で過ごした時期もあるんだぞ。シスターも優しかった」
「…弟…何才…?」
「8つだ。また可愛いんだこれが。兄上、兄上、って金魚のフンみたいに…」
「リグール、弟惚けはそれぐらいにしろ。これは任務だ。何もなければそれに越した事はない。」
「うん…そうだね…。…私帰る。また明日…」
「よし、俺も帰るわ。また明日な!」
「あぁ。遅れるなよ。」
リグールと弟セガルドが首都ルクードにやってきたのは今から2年前。半ば孤児院から飛び出した彼は、魔力の素質が認められ魔導学校に入学。そこでクリシーヌとアリシスに出会う。
クリシーヌの家は、代々に渡り、国の誉れ『剣聖』『大魔導』を多く輩出し、政の世界にも多大な影響力を持つヴェルナード家の長女。
アリシスは、没落した貴族シルヴァ家の末裔。以前は王国の両翼としてヴェルナード家と肩を並べる名家だったが、跡取りに恵まれず次第に衰退していった。
そして、リグール。
才ある者は、一人で邪悪竜を狩る事が出来るだけでなく、竜人を使役する事ができるとされるアーカイヴ族の血統。
他国との戦局さえ簡単に覆すその強さ故、何にも属さずに静かに伝説となった一族の末裔。
「帰ったぞ〜。」
「兄上!聞いてください!今日、自分に友達ができました」
「おぉっ!それはよかったな。飯の時にゆっくり聞かせてくれ」
「はい!」
リグールの作った食事を二人で食べながら、二人の会話は楽しいものだった。
「ランドルフって言うのか。貴族なのか?」
「はい、家名はアルバトスです。明日も遊ぶ約束をしました。」
「そうかそうか。あのな…セガルド、俺は明日から数日間、任務でルクードを離れる。一人にするのは心配なんだが…」
「そうですか…。大丈夫です。兄上はお仕事を頑張って下さい」
「すまないな…。ジンの妹はお前と同い年で名はリリアンだったかな…。あいつの家に頼んであるから、仲良くするんだぞ?」
「はい!」
二人は食事の後、早々とベットに入る。
「(明日はルードか…ネリーは元気にしてるかな…。オランはまだ泣き虫のままかな…。)」
孤児院を思い出しながら、リグールは眠りについた。
明くる朝
「遅いぞバカモノ!!」
「わりぃわりぃ、道端で産気づいた妊婦を見かけてな。」
「…うそ…」
「大方、弟が心配で家から出られなかったんだろう」「う…」
「…リグールの弟…見てみたいな…」
「雑談は歩きながらでいい。出発するぞ」
ルードの村までは馬を走らせて2日かかる。途中に宿があるため、野宿の心配はない。

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