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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 216

「並みの下位魔法では、貴方に勝てません。」
「じゃあ、どうする?」
「パワーアップします。ファイオ…」
ダミアンへ向けた掌で、魔力を繊細にコントロールする。
「こ、これは…」
「な、な、なんとー!ランドルフ選手!炎魔法を唱えながら、打ち出さずに留めている!いや、巨大化させていく!」
「さすがだランドくぅ〜ん!いけいけゴーゴー!」
その間も、火玉を巨大化させていき、掌を上に掲げる。
「知っていますか?触媒を経由する魔力は、純然たる魔法の力に届かない。魔導手を触媒にしている貴方に、これを破る事は出来ない。」
「…やってみなければわからないさ。いざっ!」
ダミアンは、ランドルフへ向けて駆け出し一気に距離を詰める。
「…」
真っ直ぐに見つめ、ダミアンを充分に引き付けた所で、大火玉を放った。魔導手を十字に合わせ、ダミアンは、防御しながらも突っ込む。
「うぉぉおっ!」
「…」
凄まじい爆発と共に、吹き飛ばされたのはダミアンだった。地面に転がった後、倒れたまま動かない。
「き、決まったー!勝者、ランドルフ・アルバトス選手!」
ワァァァア!
「おぉ〜!いい物を見れたねぇ!」
「イェーッ!ランドくーん!ヒューヒュー!」
倒れたダミアンに、ランドルフが歩み寄る。
「いい戦いでした。ありがとうございました。」
「まだ…まだ…余力を残してる感じだね…。これでも、自分が一番強いと思ってたんだよ…。」
「相性もありますから。」「そう思いたいな…。」
差し伸ばしたランドルフの手を掴み、ゆっくりと起き上がる。
「でも完敗だ。負け惜しみも出てこない。」
「僕と働きませんか?貴方のような方が、この国には必要です。」
「俺?騎士なんてガラじゃないよ。」
「いえ、貴方が必要です。」
「ふっ、君みたいな騎士や魔導士がゴロゴロいるなら、強くなる一番の近道とも思える。とりあえず考えさせてもらうよ。」
「ありがとうございます。ダミアンさん。」
盛大な拍手の中、ダミアンとランドルフは退場した。
〜控え室〜
コンコン…
「はーい!」
「セガル君、ちょっとよろしいですか?」
「あ、ジンさん!でも俺そろそろ行かないと!」
「待ちなさい。今のままではラカゥに絶対勝てません。私を信じて剣を出して下さいな。」
「え?え?」
いきなりの来訪と物言いに、戸惑いながらも紅月を呼び出した。
「よろしい。」
刃に指を滑らせ、自らの血液を紅月に滴らせる。
「(アーンッ♪美味しいっ♪美味しいっ♪)」
「え?え?え?」
「ラカゥの時間操作は、自らを中心に結界を張り、その空間内を操るものに依る力です。これで、簡易ながらも、紅月はその内側から結界を相殺し、満足に戦える事でしょう。」
「あの、なんで俺に?」
「ふふ♪ランド君は私の弟子ですが、セガル君も本当の弟のように思っています。負けないで下さいね?」
「…合点承知!ジンさんに完全勝利をご覧に見せましょう!」
「(もっと!もっと!)」
ジンの血液をねだる紅月を黙らせ、セガルドは控え室を飛び出した。
「ジンさん!ありがとうございました!」
「期待してますよ♪」

「それでは、第三試合を始めます!選手、入っ場!」
「きたきた!セガルドくーん!おーい!」
「間抜けめ、身内の応援どうのこうの言ってたのはお前だろ。とは言え、我輩も彼とは長い付き合いだ。セガルくーん!」
実況席から手を振るジュダとリク。
「んふふ♪失血死寸前で倒してア、ゲ、ル♪」
「お前じゃ理ー無ー♪俺さっき超パワーアップしたし♪」
早くも挑発し合いながら、距離を空ける。
「試合開始です!」
だんだんと、ノリノリになってきたジュスガーが、ポーズを決めた所でゴングを鳴る。
「「開!」」
ラカゥの手に大鎌、セガルドの手に刀が握られる。
「チェストー!」
先に仕掛けたのはセガルド。地を蹴り一息で間を摘めると、掛け声を上げながら紅月を振り下ろす。
「甘々よん♪」
大鎌の柄で受けると、斬撃を滑らせるようにして刃で後ろから首を落としに掛かる。
「じゃそれも甘いっ!」
身を屈め背後からの刃をかわし、さらに踏み込み斬り上げる。
「じゃそっちもまた甘いっ♪」
前髪を切らせながら、返す刃をセガルドの胴へ。お尻を引くようにして、セガルドは斬撃をかわす。
「それも甘ーいっ!」
ガッ!ギィンッ!ガギッ!「ほほぅ!これは名勝負の予感だな!今は互角と…」
「いけー!そこだ!そうだ!あー惜しい!いけ!あー危ない!わー!」
「やかましいわ!解説に呼んでやったんだからちゃんと解説しろ!」
「うるさい!今いいとこ…わー!」
「えーっ、ジュダ様、技は互角と見てよろしいですか?」
「うむ、しかし速さと力はセガルド君に分があるようにも見え…わー!油断するな!あー危ない!わー!」
「…」
結局、ジュダもただの観客となり、やれやれと言った様子のジュスガー。
「えいっ♪」
大鎌でセガルドを弾き飛ばし、柄を地面に突き刺す。「くっ!」
「えへっ♪破界♪」
「紅月っ!」
「(任せなさい!紅雫の好きにさせないわ!)」
「破界!」
周囲、全ての色彩が奪われ、舞い上がった砂煙までもが動きを止める。
「やっぱりねぇ、紅雫の言う通りかぁ。」
「助かった…。ジンさんに感謝だぜ。」
「助かってないよ?」
「チッ!」
加速しながら斬撃を繰り出すラカゥ。目で追えるものの、防御が精一杯のセガルドは、全身を少しずつ切り刻まれながらも、タイミングを読む。
「…」
ガィンッ!
「わーぉ♪」
狙い澄ました一撃は、ラカゥの紅雫を弾いただけだった。
「んふふ♪おっしーい♪命乞いとかしちゃう♪?」

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