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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 215

「ちゃんと避けないと骨までいくからな!そりゃそりゃ!」
作り出した砂の弾丸を、メリルへ向けて打ち出す。
「はにゃにゃにゃ!」
メリルは、身軽な動きで砂の弾丸をかわしながらも、デイルは打ち出すと同時に新たな弾丸を作り出している。
「あーっと!メリル選手は防戦一方!」
「さすがの強さだねぇ。魔力操作系はピカイチだ。あの砂分身も、高等技術だよ。」
「見てる我輩達も、魔力の変化に気付かなかったからなぁ。こりゃメリル君は厳しいね。」
その時、メリルが剣で弾丸を受けたと見えたが、弾けるように弾丸が散った。
「おぉっ!!なんだ今のは!やるなメリル!」
「はぁ、はぁ、対リグール様用の技です。いきますよ!」
打ち出す弾丸を、紙一重でかわしながら、デイルへ一直線に距離を詰める。
「なるほど!魔力から弾道を読んだか!しかぁし!」
目前に迫ったメリル。強力な魔力を練り上げ砂の大盾を作り出した。
「なんと巨大な!デイル選手!凄まじい大きさの砂の壁を作ったー!」
「ほぅ、防御しながらアレで潰す気だな。」
「メリル君がぺしゃんこになるぞ?」
しかし、メリルは、さらに強く一歩踏み込んで加速する。
「(足りない腕力は、速さと技で、)」
「ガハハハッ!どうするメリル!どりゃあー!」
逃げ場の無いメリルが、砂壁へ剣を突き出す。
「ぬぬっ!?」
「これは!?」
「あーっと!これは!」
メリルの突きが、鉄壁の大盾を撃ち破り、デイルの右肩に突き刺さった。
「…やられたわ!まさかこれ程に強力な突きを隠し持ってるとは!」
「ひぃ、はぁ、名付けて、旋空剣、ですぅ。」
「メリル!見事である!俺の敗けだ!おーい、降参する!」
実況席へ、左腕を振るデイル。
「な、な、な、なんと!ここに決着!大方の予想を裏切り、メリル選手がデイル選手を破ったー!」
「うむ、無謀とも言える加速は、足りない腕力を補うためであったか。」
「バカめ、突きの当たる刹那の一瞬に、強烈な捻りを加えたのだ。それが、あの貫通力を生んだ。腕への負担が大きく多用は出来ん技だな。」
「バカ!?バカって言ったなお前!!」
「バカだからバカって言ったんだ。」
「バカって言う方がバカなんだぞ!」
「やかましいわ!バカバカ!」
「はいお前ダブルバカー!」
「…えーっ、メリル・ナリア選手の勝利ですっ!」
ワァァァアッ!
観客席から、歓声が沸き起こる。
「デイル様、」
「強いじゃないかメリル!だがもっともっと精進せい!ガハハハッ!」
自ら剣を掴んで引き抜くと、高笑いをしながら闘技場を後にした。
「ん〜、勝ったような、負けたような、ん〜、まぁいっか♪」
ニッコリと微笑み、観客に手を振りながら、デイルとは逆の入場口へ向かった。
「続きまして…第二試合!選手!前へ!」
東の門からダミアン、西の門からランドルフが入場する。
「きたー!ランドくーん!頑張れー!」
「バカめ、解説のお前が露骨に身内を応援してどうする。」
選手の二人は、中央へ。
「手加減しないよランドルフ君。」
「望むところです。」
ランドルフの瞳は、ダミアンを見ていなかった。
「(セガル、先に待ってるよ。)」
「開始!!」
開始のゴングが鳴る。ランドルフが掌をダミアンに向けた。
「ファイオ…」
「ふん!」
魔導手で拳を作り、ランドルフの放った火玉を殴り飛ばすダミアン。魔法障壁に阻まれたが、観客席から驚きの声が上がる。
「ファイオ…ファイオ…」「ふん!はっ!」
前進するダミアンに、距離を保ったまま魔法を連発するランドルフ。その全てを、ダミアンは観客席へ殴り飛ばしていく。
「さて、お二人はどう見ますか?」
「思ったより、普通の戦いだねぇ。魔導士に、あの魔導手ってのは少し厄介かもしれないが。」
「ランド君の力はこんなもんじゃない!戦ってるとこは見た事無いけどね!」
「賭率も拮抗しております!それにしてもまだ試合は動きませんねー!」
「ファイオ…ファイオ…」「こんなもので、俺に勝てると思ってるのかい?ふん!」
火玉を殴り返し、次弾を放ったランドルフの目前で相殺させる。
「くっ…」
「もらった!」
爆風と熱風で、視界を遮られたランドルフに、ダミアンは殴り掛かる。
「シルド…」
「ちっ…」
簡易防御魔法で、ダミアンの攻撃を阻むと、ランドルフは後方に飛んで再び距離をとる。
「ランドルフ君、そんな戦い方で楽しいのかい?」
「えぇ、とっても♪」
苛立つダミアンに、ランドルフは笑顔で答える。
「そうかい…じゃあ本気で行こうか!」
「(ほんとはつまんないな…。ジンさんの言い付けだから守ってるけど…)ライガ…ライガ…」
炎魔法から、雷魔法に切り替え、前進するダミアンに距離を保ちながら連発する。
「う〜む、ちょっとつまらんな。」
「なにを言う!ランド君を見てみろ!傷一つ無いじゃないか!いけー!」
「だからつまらんのだよ…」
盛り上がるリクを見て、ジュダは溜め息を吐いた。
「はぁっ!」
再び、ダミアンの魔導手がランドルフに迫る。
「シルド…。っ!?」
阻んだと思ったランドルフ。しかし、ダミアンの拳は抜き手に切り替わっていた。
「油断したね。ふん!」
魔法障壁に魔導手を突き入れ、こじ開けるように切り開いた。間髪入れず、ダミアンの拳がランドルフの胴を捉える。
「うぐっ!」
「っらぁっ!」
力任せに振り抜かれた拳は、ランドルフの体を殴り飛ばした。地面に叩き付けられたランドルフはピクリとも動かない。
「強烈ぅー!ついにダミアン選手の拳が、ランドルフ選手を捉えたー!」
「ほぅ、彼も決勝トーナメントに残ってるだけの事はあるな。」
「ランドくぅ〜ん!」
だが、ムクッと起き上がったと思うと、何事も無かったかのように立ち上がって、マントの砂を払いだした。
「なにっ!?」
「はぁ〜、ビックリした。その腕には、そんな使い方もあるんですね。」
腹部を守っていたシルドが消える。
「これでわかりました。」「?」

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