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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 208

「………」
「あ、裸を見たのは仕方ないってやつだからな。手当てのためだ。しかし俺の回復魔法も効果があったんだなぁ。」
感心したようにうんうんと頷くリグール。
「…人間は…」
「なんだ?」
「人間は皆がこう親切なのか?」
「ん〜、あんまり言いたくないが、違うだろうな。中には悪い奴だっているさ。」
「………」
「じゃあ次は俺の番な。アンタ、なんでまたあんな血塗れで倒れてたんだ?」
「…獣界は今、内乱で各地で戦闘が続いている。私は敵の槍に胸を貫かれ、気付いたらこの場所にいた。」
「ふ〜ん、獣界も大変なんだな。名前を聞いていいか?」
「白虎…」
「ははは、そのまんまだな。白い虎で白虎か。まぁでも似合って…」
「王…」
「え?」
「私は…白虎王だ。ぅ…」
胸を押さえ顔を歪める白虎王を、リグールはポカンと見ていた。
「…じゃあアンタ…」
「そ…う。私は…獅子王の娘…。」
「ゲェェェッ!ど、ど、ど、どっ!」
「ま、待ってっ!逃げないで!くぅっ…」
「あ、あ、す、すみません!ビックリしただけで逃げません!」
慌てて駆け寄るリグール。「はぁ…ぁ…ありがとう…」
「い、今はお休み下さい。騎士団に連絡を取り無事に獣界に帰還できるよう手配を…」
ゆっくりとベッドに横になる白虎王。
「いや…それは待って欲しい…。リグール…君と…話がしたい…」
そのまま静かに気を失った。
「…困ったな。まさか獣界の姫君様だったなんて…。とりあえず二人には連絡を取らないと…」
その晩、クリスとアリシスの宿泊している宿屋では…
「まさかリグールがお漏らしとはな…。」
「…ぷ…ぷぷ…」
「くく…あ〜っはっはっはっはっ!」
「言っちゃう…かも…」
コンコン…
「くく…ど、どうぞ。」
「失礼致します。お連れの騎士様がこの手紙を二人に渡して欲しいと。」
「……なにかな…?」
「え〜っと、なになに…「拝啓、クリス様とアリシス様へ。俺がお漏らしなんかする訳ねぇだろば〜か!引っ掛かってんじゃねぇよ〜だ!とにかく用事が出来た。後二週間のモンスター討伐任務は二人に任せる。せいぜい頑張ってくれたまえ。リグールより。」」
「…」
「…」
ビリビリビリ…
クリスは手紙を丁寧に丁寧に破り捨てた
「…」
「…」
「……ムカつく…」
「…ムカつく事なんて無いさ。」
「…?だって…手紙…」
「手紙?なんの事だ?私達は何も受け取ってないじゃないか。リグールはお漏らしをしたまま姿を消し、明日からは二人で任務にあたる。」
アリシスがニヤリと笑う。「ん…そうだね…手紙なんてなかった…」
「リグールよ、後悔しろ。ルクードに帰還したら、騎士団の連中のみならず…」
「「サーシャに言う。」」二人の声がハモった。そして夜は更けていく。

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