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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 207

そう思い部下の抑止を聞かず死地に飛び込んだ。だが、それが偽の情報と気付いた時には遅かった。
矢を背に受け、腕は折れ、息は上がり出血で目が霞む。敵は構わず襲い掛かってくる。
力を振り絞り、戟で敵を薙ぎ倒した時、放たれた槍が胸を貫いた。
「…終わりだ。よくここまでもったものだ。」
「グゥ…貴方が…」
「ククク、最後くらいは顔を見せてやろうと思ってな。私が司令官の号燕。」
「ふ…ふふ…もうすぐ兄様が来る…」
「構わんさ。戦果はお前の首だけで十分。さっさと軍を引き上げる。」
「……」
「しかし美しい…あの獅子王の愛娘がこれほどとはな。ククク」
「ゴホッ…私は…」
「ん?」
「私は…死ねない…平和な世界を…」
「安心しろ。お前が死に、獅子王の首を取れば平和な世界に…」
その時、眩い光が白虎王を包んだ。
「な、何が起こった!?全員構えっ!」
「………暖かい…お母様…?」
「とどめだ!誰か行かぬか!チッ、腰抜けどもめ!」そして、白虎王の体が一際眩い光に包まれた後、彼女は姿を消した。
……
「おい!リグール!ウロウロするんじゃない!」
「うっせぇな!小便したいんだよ小便!漏らすぞ!」
喧騒にうっすらと目が開く。そこは鬱蒼とした森の中だった。徐々に足音が近付いてくる。
「ったくやかましい奴だ。小便ぐらいゆっくりさせろってんだ。」
「……ぁ…(人間、人間が近付いてくる…。武器を…武器を持たなくては…)」
「うおっ!なんだこりゃ!ちょっと大丈夫かアンタ!」
駆け寄ってきた男が血塗れの白虎王を抱き起こした。「ぁ…さわ…ぐな…人間…騒い…だら…殺…す…」
「なんだぁ?こんな有り様でよく言うもんだ。見たとこ獣人みたいだな…。」
「おいリグール!リグール!」
徐々に女の声と足音も近付いてくる。そして、この男からは不思議と母によく似た暖かい何かを感じていた。
「ぐ…ぅ……たの…む…他の者の…目には…」
「…クリス!こっちに来るな!漏らしちまった!」
「なにぃぃぃぃっ!?」
「(ぅゎぁ…最悪…お漏らしだって…みんなに…教えてあげよ…)」
「聞こえてるぞアリシスちゃ〜ん。とにかく川か湖で洗わせてくれ!」
「まったく、騎士としての自覚は無いのか奴は…」
「とりあえず…今日はもう…町に戻ろ…」
「聞こえたな?早く戻るんだぞ!」
遠ざかっていく足音。
「は…あ…礼を…言う…。リグー…ル…」
「おぃっ!…気を失ったか。さて、どうしたもんかなぁ…」
リグールは白虎王を抱え上げ、森のさらに奥まで歩き出した。
「………ん…?」
次に目を覚ました時は、薄汚い小屋の中だった。隅には壁を背もたれにし座って寝ているリグールがいた。
「………助かった…のか。」
ゆっくりと体を起こすと、全身に包帯がグルグル巻いてある。はっきり言うと下手だ。
「…ここは…人界なのか?リグール…だったか…?」「………ん?ふぁ〜、目が覚めたか?しかし獣人の回復力は凄いな。」

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