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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 205

その一言に獅子王の耳がピクリと動く。
「理由を申してみよ。」「私は、ある方の式神として人界にいます。本日は父上にお願いがあり…」
「…白虎王…自分が何を申しているのかわかっておるのか…?」
喉を鳴らしながらモニターの白虎王を睨みつける。
「我ら誇り高き獣王族が…人間如きの小間使いにまで落ちぶれるとは何事だ!!」
「っ、……。」
「白虎王っ!今すぐ戻れ!さもなくば人界なんぞ三日の内に滅ぼしてくれる!!」
「お待ち下さい父上!話を、話だけでもお聞き下さい!」
「ならぬ!」
その時、獅子王の背後の扉が開き、一頭の黒い獅子が現れた。
「親父、白虎が見付かったんだって?」
「グルルルル…荒獅子、今すぐ戦の準備だ。諸侯の多種族にも伝令を出せ。」
「父上!」
「まぁ待てって。久しぶりだなぁ白虎。前に見た時より美人になった。」
「荒兄様…」
「親父、白虎がこうして連絡をとれば、親父は絶対に連れ戻そうとするだろ?」
「当たり前だ!」
「だ〜から白虎は連絡をとらなかったんだろうが。人界でやらなきゃならない事があるんだろう?まずはそれを聞いてやろうや。な?」
不満気な獅子王は、喉を鳴らしながら白虎王を見て、一つ溜め息を吐いた。
「…仕方あるまい、申してみよ。」
「ありがとうございます父上、荒兄様。私は、見届けたいのです。人の造る戦争の無い世界を…」
白虎王…彼女が生を受けた時、獣界は内乱の真っ最中だった。
転戦に次ぐ転戦の獅子王。最前線で戦う父の姿を、母からは、この世界で最も強く、気高く、勇猛果敢で愚かな王と聞かされていた。
獣界では絶対の存在である獅子王。その父の事を微笑みながらも『愚か』と言えるのは、獅子王が唯一心から愛し口説き落とした女だったからである。故にその妻との間に生まれた娘に『王』の名を授けたのも、彼女と娘への愛情表現だったのだろう。

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