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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 204

ガギィンッ!
相手の剣を払ったリグールは後方に飛んで距離をとる。
「「秘剣!!」」
リグールの着地と同時に二人の声が重なった。
「濁流ノ激!!」
斜めに振り下ろしたリグールの木刀から闘気の衝撃波が放たれる。地をえぐりながら相手へ一直線に向かっていく。
「…」
遅れた相対する選手が構えた剣で衝撃波を受ける。深々と顔を覆う程に被ったフードは捲れ上がり、銀色の髪が美しく靡いた。
「清流ノ威!」
その衝撃波を横へ受け流し、彼女はため息を吐き残念そうにリグールを見る。
「私の方が少し遅かったか。大技を狙い過ぎたな。さすがだ、リグール。」
「クリス、お前まで覆面とは…悪趣味な奴ばかりだ。まったく…」
「そう言うな。ほれ、予選は終わりみたいだぞ。。…あぁそうだ、本戦では遠慮無くやらせてもらう。」
「…」
「そして、お前を倒す。」
それだけ言い残し、クリスは会場へ転移した。
そんな戦いを見たほとんどの選手が予選を辞退していく。ジュダの見立てで一週間以上はかかると思われた予選も、僅か二日間で終了した。
〜獣界・獣王の間〜
巨大な椅子にどっしりと腰掛ける黄金の鬣の獅子がそこにいた。
ドンドンドン!
「騒々しい…入れ。」
「ししし失礼します!人界から姫君と名乗る者から入電が!!」
「な、何と!?すぐにモニターと音声をこちらへよこせ!!」
獣界と言うと勘違いをしてる者も多いが魔法文明の水準は人や天使族、魔族、鬼族より遥かに発達している。
獣族の中でも王家や貴族にのみ使用の許された魔導式通信機を通じ獅子王は人族の使い魔になった娘、白虎王の入電を受け取る。
『…父上、お久しゅうございます。』
『おお……おお!…白虎王、間違いない。八年前の手紙から一度も連絡をよこさずに…馬鹿者が…』
そう言うが言葉とは裏腹に獅子王は顔をほころばせる。
獅子王には二頭の息子と一頭の娘がいる。獅子王の跡継ぎとして名高い長男の荒獅子、次男の猛虎、そして、白虎王。
何故、二人の兄を差し置き、彼女にのみ『王』の名が与えられたのか…
「今、人界におるようだな。待っておれ、すぐに迎えの者を…」
「父上、私は今、獣界へ戻る事はできません。」

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