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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 203

「なによ…。結局、体目当てって訳…」
ジロリと睨むミュル。
「物分かりもいいようだな。ほれ、」
紙を手にリグールが近寄る。短剣に手をかけたまま受け取り読み上げると…
「…この者、聖騎士、及び聖騎士見習いに推薦する…え?」
「書いてある通りだ。その書類を騎士団の本部で受理してもらえ。その体でしっかり働いて貰うからな。弟は今どこだ?」
「あ、ルクードから南の森の…」
「わかった。後でジンに頼んでおこう。それでもいいか?」
「え、あ、はぃ…」
「結構。次、」
リグールは、要件だけ済ませてさっさと行ってしまった。
次に現れたのは、真っ赤なマントを翻しウインクをする怪しげな男。
「ふっふふ〜ん♪リグール、久しぶりだねぇ♪八年前の舞踏会以来かな?」
「誰だお前は?」
………
「ぼぼぼ僕はトムス・ドレパノだ!まさか忘れたのか!?きぃーっ!」
金切り声を上げわめき散らすトムス。
「あぁ、ドレパノ様の息子か。同い年にいたなそんな奴。」
「お前と同期の卒業試験を受けたじゃないかーっ!そんなあんまり関わり無い奴みたいな言い方するなよぅ!」
「………何か用か?」
「ここのかとうかってね♪てへっ♪」
バキャァッ!
リグールの木刀が顔面を打ち抜き、真横に吹き飛ぶトムス。顔を押さえのたうち回っている。
「あばばばっ!顔が!僕の顔が!」
「何か用か?」
「ふふふ不意打ちなんて卑怯だぞ!この大会の運営費の半分はうちが出したのに!!」
「用件を言え。」
「あぁそうだった!クリスと結婚したいんだけどセガルドって奴を倒してくんな…」
バキャァッ!
立ち上がって近寄るトムスに、今度は逆側から木刀で打ち抜く。
「あばばばっ!顔がっ!顔がっ!ななな何をするんだよーっ!男前が台無しになるだろーっ!」
「自分でやれ。しかしお前…なかなか打たれ強いんだな。」
「ふふぅ〜ん♪まぁね♪学生の頃からクリスとのスキンシップで鍛えられているのさっ♪」
指を立てウインクするトムス。
「まぁいい。残念だが、お前は予選敗退だ。」
「へ?またまた〜♪冗談だよね?…え?何で木刀振り上げるの?待って!せめてセガルドと戦わせて!お願い!いいいやだ!くくく来るな!ひっ、いゃぁぁああっ!」
ドゴッ!
こうして、トムスのクリス奪回劇場は予選の予選で幕を閉じた。
「ねぇリリー、参考になった?」
「あはは…」
リリアンは苦笑いを浮かべている。
「っ!あっ!」
ガギィンッ!
ランドルフの声と同時に、全身をマントで包んだ選手の剣をリグールが受ける。
「っ、」
「…」
「お、おぃ…見てみろ。リグールが剣を受けてるぞ…」
初めて受け太刀するリグールに周囲の視線が集まる。
「…予選でお前に当たっているとはな。」
「…」
リグールに相対している者は、沈黙したまま剣に力を込める。

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