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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 202

「使えん者ばかりだ。次、」
そこへ一人の男が前に出た。
「ならば俺の相手をして貰おう。我が名は、ロクランス。闘技場ランク第二位だ。そこに転がっている奴等よりは使えるぞ。」
「…。」
「狂のリグールの強さは聞いている。剣聖クリシーヌ・ヴェルナードに並ぶ強さだと…。だが、実力を疑問視する声は多い、私もその一人だ。その程度の雑魚をいくら倒しても強さの証明にはならん。」
「…いいだろう。来い。」
「いくぞっ!」
剣を引き抜き、ロクランスは一直線にリグールへの距離を詰める。
真っ直ぐに見据えたまま動かないリグールに、ロクランスは剣を振り上げた。
「うおおおっ!」
「…合格。」
バキャァッ!
振り下ろす剣より早く、リグールの木刀がロクランスの顎を打ち上げた。首を引っこ抜かれる程の衝撃で体が宙に浮く。
「がっ!!(な…にが…起こった…空が…ゆっくり…)」
ズンッ…
時間がまるでゆっくりと進むような感覚の中で、地面に叩き付けられる衝撃で我に返る。
「(そう…か…負けか…。は…はは…これが…狂のリグール…)」
「大会終了後に騎士団本部に来るように。以上。次、」
「……おりゃぁ!」
「ぐあっ!後ろからなんて…卑怯…」
その様子を見ていた選手の数名は、リグールを倒す事が不可能であると判断し、予選通過を優先するべく戦い始めた。周りは全て敵、と戦う選手達を観察しているリグールに、一本の矢が飛んできた。
ヒュッ…バシッ!
その矢を木刀ではたき落とすと、小石を拾い上げ周囲を見渡す。
「ほぅ…そこか?」
「っ!?」
小石を投げ様子を伺っていると、草むらから弓を構えた女性が出てきた。
「女か…名乗れ。」
「私の名は、ミュル。狩人のミュル…」
「無意識か知らんが矢に微小の魔力が込められている。才能はありそうだな。」
「??私は賞金が必要なんだ。リグール、ここで倒れてもらう。」
「そうはいかん、仕事だからな。ミュル、どうして金が必要なんだ?」
弓を構えたままのミュルに対し、リグールは小石を数個拾い上げる。
「私には、病気で起き上がる事も出来ない弟がいる。医者に診せ、薬を買う金が必要なんだ。」
「ならば弟が元気になれば金は必要ない訳だな?」
ビシッ!
「なっ!!」
リグールは、指で小石を弾き飛ばす。驚き放たれた矢は、リグールの腕を外れ地面に突き刺さった。一方、小石は弓に直撃し亀裂を入れる。正確に的を射抜く事が困難になってしまった。
「これでお前の戦闘力は激減したな。小石はまだ五つある。頭を狙うなら一つで十分だが。」
「くっ…」
「さて、俺の友人に物知りが一人居るんだが、お前の弟の治療をタダでしてくれるかもしれん。」
「ほ、ホント?」
「あぁ、だがタダで何とかしてやる程、俺はお人好しじゃない。」

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