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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 200

「ほあたっ!」
この創世に気を取られた一瞬の隙を突きセガルドはラカゥに蹴りを放つ。
ポスッ…
が、大鎌に阻まれたとはいえ、威力は攻撃とは言えないような一撃だった。ラカゥは思わず吹き出す。
「ぷっ…よわ…」
「……違うっ!俺の蹴りはこんな弱くないって!ホントに!」
「もういいや。死んでよ♪っ、きゃぁっ!」
ズシャァッ!
紅雫を構え、セガルドの首を刈り取ろうと振りかぶるラカゥの足が不意にもつれ、花畑に頭から突っ込んだ。セガルドは嬉しそうにニヤニヤ笑いながら見下ろす。
「くくく、ドジっ子ですか?」
「ち、違うわよぉ!」
キッと睨み付けるラクゥ。
その横で、ジンとヴェイルは対峙していた。
「はぁ…創世魔法ですか。まいりましたね。ですが、僕には次元魔法がありますよ?」
「なら私は星間魔法を…」
「なら僕は……」
「「子供の喧騒!?」」
セガルドとラクゥは争うのも止めて叫んだ。
「………まぁ、私も大人気なさすぎましたね。では元の世界に戻りますか…」
ジンはもう一度、指を鳴らす。
するとガラスのように世界が崩壊し、闘技場へと戻った。

『何が起きたかよく分かりませんでしたが…これだけは言えます!!』
そこで司会者はクリスへと魔導拡声器を渡す。
『…えっ、私がか?……え〜…うぅっん……今、闘技場に立っている四人の闘士達が本選出場を獲得した!おめでとう!』
声に緊張を含むものの、堂々と宣言した。


「はぁ〜、やっと終わったよ…」
「ええ、なんかぐっと疲れましたね。」
セガルドとジンはそれぞれ呟く。
「あれ?あの二人は?」



ドンッと壁に叩き付けられるラクゥ。
「いやはや…油断とは怖いものです。まさか背後から刺されるとはね…」
ヴェイルは胸を撫でる。
「お前…心臓を突かれてなんで生きている?」
「ふふっ…僕はちょっと特殊でしてね。それよりも貴女…」
「なんだ?殺すか、私を?」
「まさか。ただ、僕の……そうですね…弟子になりませんか?」
「は?…断る。お前は悪者だ。」
「いいですねぇ、その実直さ。しかし、死の匂いがするから悪者、魔族だから悪者、人を殺したら悪者……ふふっ、実にくだらない。立場により善悪は変わります。もし貴女が魔界の者なら魔族は正義の味方です。」
「でも!」
「でも、なんです?この世に悪などいません。いるのは強者と弱者。違います?」
「………」
「沈黙は肯定と取ります。そして、貴女は強者でも弱者でもない、曖昧な存在です。その…紅雫ですか?も同じです。殺意しか持っていなく、なんと不安定なことでしょうね。」
「…これはそういう物だろう?」
「…貴女には声が聞えるだけで、見えていない様ですね。」
ヴェイルは紅雪の頭を撫でる。
「…?」
「ではまず、紅雫の意識を取戻しましょうか…」
ヴェイルが紅雫(具現体の女性)の額に手を当て、呪文を唱える。
『!!!…』
悲鳴にも似た声をあげ、紅雫は苦しみ出す。

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