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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 198

選手達は口々に言う。
「ご、ごめんなさい…私はただ、この男に脅されただけで…」
ラクゥは泣き崩れた。もちろん、フリだが…
「あっ、ずるいですよ!」
ヴェイルは言うが、大して危機を感じていない。
「そうか…こんな嬢ちゃんがまさかとは思ったが…許せんな!」
「はぁ〜……もう、いいです。そう言うことにしましょ。そして、あなた方…」
ヴェイルは取り囲む男女を眺める。
「いくつか、間違いをしていますよ。まず、バトルロイヤルとは人をいかに騙し、楽をするか…です。次に僕はただ、セガルド君やジンさんが消耗して欲しかっただけでしてね。」
(まぁ、面白いものも見れましたが。そうですか。紅月の能力は創造ですか…)
「そして、最後に…」
ヴェイルは一瞬で紅雪の刃を解き放つと、きっちり十一人、己の槍の餌食にした。
「強者はセガルド君やジンさんだけではないんですよ…」
ドクン…
直後にヴェイルの心臓が高鳴る。
「これは…」
視線の先のラカゥは俯き呟く。
「だよね、だよね。10人以下でも構わないよね、私が一人残るだけだよ…。全ては終わってるから…紅雫。」
ガキンッ!
ラカゥは手にしている大鎌を本来の形に戻した。先程より禍々しく変形した刀身が怪しく光る。
「…その刀身…一体どれだけの血を吸わせたのやら。凄まじい怨念を感じますよ?」
「悪者退治しただけ。破界…」
「く、紅雪っ!…」
直後、ラカゥの周囲の色彩が奪われ全てが動きを止める。
「(…非常に困りましたねぇ…さすがの紅雪でも意識を持ってくるだけの時間しか無かったか…)」
「へぇ〜。意識あるの?やっぱり強いんだ。でも残念ね、悪者は退治しなきゃなの。貴方悪者でしょ?紅雫は貴方は悪者だって言ってるよ?」
ラカゥが大鎌を肩に担ぎゆっくり近付く。
「(警戒していたつもりが、この娘は危険過ぎたようだ。紅雪の応答も…無し…か…。テテュス…)」
一切の身動きが取れないヴェイルの正面に迫るのは死そのもの。
「あの時、殺しておけば…とか考えてるのかな?ま、運も実力だったりする訳だし事実生きてる私♪自分より弱いと思って油断してるからだよね。うん、そう、油断大敵だ。」
完全に勝ち誇った笑みで紅雫を振り上げたラカゥだが、背後からの足音に振り返る。
「おやセガルド君。こちらの二人は取り込み中みたいですねぇ。どうします?」

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