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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 197




今回は鋭く削られた山肌であった。
参加者も百名ということもあり互いに警戒し合い、誰も動こうとしない。数名を除いては…
「…ジンさん。」
セガルドはジンに近寄り、話しかける。
「やぁ、セガルド君。最初の相手は君ですか?」
「いえいえっ…そういうのは本選でやりましょうよ…。それよりも運営側としてはこの膠着状態ってどうします?」
「私にはどうも出来ませんよ…」
二人は残りの九十八名を眺める。

その時…

「こう言う時は集団で強い相手から潰すのが有効ですよね!」
明らかに棒読みで男の声が静寂を破る。その声にセガルドが反応する。
「あれ?この声って…」
「そうそう!やっぱりあの人とかは最初に潰したいわよね!宰相のジンさんとかペア部門で活躍したセガルドさんとか!」
今度は女性の声。やはりこちらも棒読み。
「そうですね!ではまず、そのお二人に倒れてもらいましょうか!?」
今まで動こうとしなかった参加者達が一斉にセガルドとジンを見た。
「やばっ…」
「いょっしゃ!殺っちまうか!?」
その一声と共に八十名近くの参加者達がセガルド達に飛び掛かって来た。
「…しょうがないですね。セガルド君、援護します。」
「了解!」
『セガルド様ぁ〜』
(……紅月。なんだよ?)
『あら、折角私の使い方を教えてあげようとしたのに…』
(だぁ〜…だったら早く教えてくれ!もう相手がそこまで…)
『じゃあ、一段階目…開って言って…』
「か、開!」
すると紅月は光、セガルドの身体に纏わりつく。
『そしたら、イメージして…必要な、望む姿を…』
(必要な…望む姿?……やっぱり、剣…)
セガルドが想像した瞬間、右手に刀の状態の紅月が握られる。
「うおぉっ?」
驚くのも束の間、目の前に迫る男を三人、斬り伏せる。
次に左からの槍術使いと対峙する。相手は剣士と闘い慣れているのか、セガルドの間合いの外から連檄を仕掛けてくる。
「くそっ…槍使いって面倒くせぇ!」
(あと少しだけ間合いが長ければ…)
セガルドがそう思った瞬間…

スンッ!


紅月が二倍の長さにまで伸び、槍術使いの胸を貫く。
「すげぇっ!」
『そう!これが私、紅月の開放能力。術者の想像を実現させることができるのよ!最高でしょ?』
(ああ、最高だ!)
そこからは紅月の能力を利用したセガルドと、そのおかげで時間を稼いだジンの魔法により、フィールドに残っているのは二十一人となっていた。
「だいぶ、数が減りましたねぇ〜」
「そうね…」
ヴェイルとラクゥは他人事のように話す。
「ちょっと待て、お前ら…」
流れにのらず、セガルドやジンに仕掛けず残った選手達はヴェイルとラクゥを取り囲んだ。
「人心を誑かし二人いる強者に向かわせ脱落させると言う卑劣な行為…断じて許せん!」
「そうよ!あなた達、覚悟なさい!」

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