PiPi's World 投稿小説

魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 192
 194
の最後へ

魔導志 194

「英雄って…リグールさんや兄さんとかですか?」
「まぁ、あの方々は特別ですがね…大体、騎士団長くらいですよ。英雄に必要なのはある程度の実力と巡り合わせですからね」
「へぇ〜、ヴェイルさんってそうゆうの詳しいんですか?」
「ええ、職業柄ね…」
すると突然、ランドルフは立上がり出入り口へと駆け出した。
「あっ…ランド、何処に行くのよっ?」
「リリアンちゃん…一緒に行ってあげたら如何です?」
「はい…」
リリアンもランドルフの後を追いかけ、会場を出る。
「ヴェイル様…何故?」
「リリアンちゃんを行かせた事ですか?いいですか、テテュス…悲劇の舞台は役者が多いほど盛り上がるんですよ…母を殺して操り、復讐に燃える『魔導志』の傀儡人形…その復讐の対象になりながらも止めようとする『偉大なる魔力』の魔導師…そして友を助けるべく剣を振る、『竜人の器』…素晴らしい物語が生れますよ?くふふふっ…はははっ!」


「もうっ…待って、ランド!何処、行くのよ!」
「リリー…一人で大丈夫だよ」
「いいから!どうしたのよ?…私なら何、聞いても大丈夫だから」
ランドルフはしばらく考えた後、リリアンに分ってる範囲で現状を伝えた。
「…そう。サイがねぇ…」
「ごめん…今まで黙ってて」
「ううん…ランドは私の事を思って言わなかったんでしょ?だったら良いのよ…でもこれからは話してよね?」
「うん」
ランドルフとリリアンは選手控え室の扉の前に来た。

ガチャリ…

ノックも無しに扉を開けるとそこには一組の男女が椅子に腰掛けていた。
「!…やぁ、ランドルフ…リリアンも一緒かぁ…」
サイは『魔導志』を手にし、ランドルフ達を見つめるとけたけたと笑った。
「…そういえば君達は会ったことなかったんだよねぇ…」サイは隣りの女性を指差し、続ける。
「くくっ…『これ』はママだったんだよ?…まぁ、売女になり下がった母親なんてどうでもいいかぁ…」
「サイ…ちょっと待ちなさいよ!その人って死んでいるんでしょ?まさか…あなた、母親をっ…」
「ははっ…リリアンはおかしな事を言うね…なら君は自分のママが娼婦になって平気なのかい?…」
「だからって…く、狂ってるわ!」
「リリー…」
ランドルフはリリアンをなだめる。
「サイ…君は『魔導志』を持ってるね?」
「ああ、持ってるよ…なんだランドルフはコレが欲しかったのか…でもあげないよ、ランドルフ。お前に復讐するまではね!!」
サイが短く呪文を唱えると、ランドルフに向かって手をかざす。
ゴウッ!
大火球がランドルフに目掛け、放たれる。
「うっ…サイ!もう止めて!」
「ランド!」
火球がランドルフに当たる瞬間…

シュッ!

火球が二つに割れた。
「危機一髪だったな、ランド…」
「セガル…」
「セガルドまで来たんじゃ部が悪い。退散させてもらうよ…」
サイとその母の骸は光に包まれ、その場から消失した。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す