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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 193

「ええ、どうぞ…そちらのお嬢さんも、いかがです?」
「はぁ…」
ジュダの隣りにソラも控え目に腰掛ける。
「しかし、ヴェルナルド君…このデュラハンやリビングアーマーは君が造ったのかい?」
「ええ、みんな自慢の娘達ですよ。その中でも…」
ヴェイルは一体の鎧を呼び寄せた。
「この娘…スフォルツェンは僕の最高傑作でしてね。ほら、挨拶をしなさい?」
ヴェイルは兜を撫でながら言う。
「ス…スフォルツェンです……」
「すいませんね。この娘はちょっと、人見知りをするので…」
「いやいや、ヴェルナルド君…君は今、娘を思う父の顔をしておるよ?何人もの娘を持つ私が言うのだから間違いない。私は今まで、呪術師やネクロマンサーを幾人も見てきたが…自分の造ったリビングアーマーにそこまで愛情を注ぐ者はいなかった。ヴェルナルド君も良い男になったなぁ…アリシスちゃんも今では騎士団最高司令官だ。シルヴァ家も安泰だね…」
「いやぁ…ジュダ様にそこまで言ってもらえるとは恐縮です…
おや?…まだ予選の予選が残ってたんですか?たしか、さっきので最後じゃ…」
「ああ…あまりにも参加希望者が多くてね。あれは昨晩に申し込みをした組だね……」


会場が観客達も慣れ始めた眩い光に包まれた。


そして直後…
『おぉぉっとっ!?開始、十秒も待たずに帰還したペアがいる!これは大会最速です!ただ今、帰還されましたペアは……ジョンとケリー?これは偽名でしょうか?しかぁしっ!この大会において虚偽は許可されてます!では…ジョンとケリーに盛大な拍手を!!』
会場が破れんばかりの喝采に包まれる。
黒いフードに身を包んだ自称、ジョンとケリー組はそれに応えず会場を去った。
去り際にはためいたフードが男の顔を一瞬、チラつかす。
その顔を見たランドルフは驚愕した。
「サイ?…そんな、まさか……でも…」
「知り合いかい、ランドルフ君?」
「いえ、ジュダ様…気のせいでした……」
ジュダがいるこの場で騒ぎだてられる訳もなくランドルフは黙ってしまった。
(本当に君なのかい?…サイ…)


考え込んだランドルフを目に、ヴェイルは呟いた。
「あのケリーと名乗る女性…あれは死体ですね…」
その言葉に驚いたリリアンが尋ねる。
「…リビングデットってことですか?」
「いいえ、そんな上品なモノではないです。ただ、死体を無理やり魔力で制御しているだけです。しかし、あれは物凄く強力ですよ?」
「?…何故です?」
「想像してみて下さい。肉体の限界がなく、痛みも…死すらも感じない―まあ、すでに死んでいるのですからね―兵士。いいえ…命も意思もないのですから兵器ですかね。女子供の骸でも歴史上の英雄のレヴェルに達しますよ?」

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